<< 犬 人 観 >>
 
犬は人間の内側を見ている。
外側と同時に、内側も見ている。
外側も見るが、内側も見るのである。
見ていると言うよりも、
「見えている」と言うべきかも知れない。
彼らは自然体のままに見えるのである。
その感覚力は人間の比では無いだろう。
人間はどうだろう。
相手の内側を見ているか?
相手の内側が見えるだろうか?
だから犬の「見方」は人間とは違うのである。
それを分かっていないと、犬が理解できない。
犬を理解するには、犬の「見方」を知るべきである。
 
内側というのは、つまりは「心境地」である。
犬は刻刻と人間の心境地を感知するのである。
人間の姿勢や挙動や動作の全てが、心境地から発動する。
犬は人間の外側の動きと同時に、心境地を見ているのだ。
「同時に見れる」というのが犬の凄いところである。
犬の様子を見ていても、それが分からないと思う。
なにしろ彼らは、何気なく無心にそれをやってしまうからだ。
 
犬は常に飼主の「姿勢」を見ている。
「リーダーとしての姿勢」を見ている。
飼主がリラックスの時も。
飼主が指示を発令する時も。
どんな時でも、彼らは何気なく見ている。
彼らの本能が、それを見ているのだ。
彼らにとっての「リーダー」とは、支配者のことでは無い。
このことを誤解している人が多いように感じる。
彼らにとってのリーダーとは、「覚悟者」のことである。
群れを護る覚悟を持つ者が、すなわちリーダーである。
そしてリーダーは、群れを統率する力量を持つ者である。
それが彼らにとってのリーダーである。
決して「支配者」の意味では無いのである。
そこら辺を、どうしても理解できない人が多いようである。
そしてリーダーには「リーダーの姿勢」があるのだ。
それを犬たちは本能で知っているのである。
 
犬の「躾」に悩みを抱える飼主も多いようだ。
「トレイニング理論」を読み漁る飼主も多いようだ。
だが最も肝心なことは、「飼主自身」のことである。
飼主の姿勢次第で、関係は変わっていくのである。
「支配者」になろうとすれば、いつか必ず無理が来る。
「リーダー放棄」をすれば、いつか必ず無理が来る。
犬と暮らす選択を選んだ以上は、
「犬にとってのリーダー」にならなければならない。
だから「犬にとってのリーダー」を知るべきである。
それが面倒臭いと思うのなら、飼わない方がいい。
飼えば犬も飼主も、お互いに不幸になるのだ。
飼主は親であると同時にリーダーである。
そこには親の愛と同時に、リーダーの愛がある。
その尊い導きの愛に、犬は感動するのである。
そして犬は、リーダーを「リスペクト」する。
犬からリスペクトされれば、問題の大半は解消する。
つまりリスペクトこそが、最も重大な鍵なのだ。
それは飼主次第である。
「飼主の心の姿勢」次第なのである。
このことを、広く人人に知ってもらいたい。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2012:02:15 ≫