<< 狼の写真について >>
二十年前の狼の太郎の写真に対して、
「太り過ぎ」という声が聞こえたが、それについて説明する。
これは「4kgの食事の直後」の写真である。
普通は、「ああ・・食事の後だな!」と分かるはずである。
そんなことは見れば分かると思ったから、
いちいち説明しなかったのである。
≪一箇所だけ説明を入れたが≫
しかし分からない人もいたようなので驚いた次第である。
狼の食事には「波」がある。
犬のように一律に規則正しくは食べない。
食う時は猛烈に食うが、日を空ける時もある。
狼は、自分自身で調節するのである。
身体が求めている時には充分に食い、
身体が求めていない時には自制するのである。
そして調整のために日を空ける場合もある。
太郎は、特別なメニューで育てた。
犬とは肉体が異なるから、それに応じた食事である。
狼という肉食獣が本来の頑強な肉体に育つには、
犬とは異なる献立が必要だったのである。
それは、太郎を深く見つめれば分かることだった。
彼の肉体が何を求めているのかは、
彼を深く見つめていれば分かることだった。
成長期には、特に何が必要か?
成長が終わった安定期には、何が必要か?
それぞれの時期には、どのくらいの量が必要なのか?
そういったことは、太郎を見つめれば分かることだった。
その当時は若干は余裕があったので、
家には業務用の冷凍庫があり、
そこに食糧を大量にストックしておいた。
≪ご存知の通り、後年は極貧生活の人生だが≫
基本的に狼と大型北極犬は同じ献立だった。
ただし太郎は極大型だったので、「量」が違った。
記憶では北極犬は2kgから2.5kgくらいであり、
確か太郎は3kgから5kgくらいだった。
もちろんこれは「ドライフード」のことでは無い。
ドライフードを大量に与えることなど絶対に禁物である。
ただし「副食」として、ドライも若干は与えた。
≪犬が普通の量のドライを普通に食べる場合には問題は無い≫
≪ただしドライは「胃で膨張する」から非常に配慮すべきである≫
狼も北極犬も、前述のように、食事は一定では無い。
まったく食わない日もあったのだ。
彼らは自分自身で食事を「調整」したのである。
だから彼らは「肥満」になどならなかった。
そしてもちろん運動は充分だったから、
その身体は重厚な骨格と実質的な筋肉で成り立っていた。
「ガッチリ」と「太っている」とは、まったく別物なのである。
≪仕事以外の時間のほとんどを、彼らの運動に費やした≫
※因みに人間は非肉食生活が適合するようだ。
それはこの自分の身体で実体験してきた。
酷寒の中で重労働を続ける生活でも、
非肉食でまったく問題は起こらなかった。
もちろん「メタボ」とも無縁の健康体である。
「肉!肉!」で成人病になって医療を受けるなど、
まったく根本から矛盾していると思う。
人間の身体は肉食獣の身体とは違うのである。
非肉食の年月を続けてきて、それを実感している。
ところで、ただ「食事コントロール」だけで体重を保たれた個体は、
その鍛錬不足が、見ただけで明らかに分かる。
「食事調整」だけで犬の健康を保とうとする飼主も多いようだが、
それは無理な話であり、それは本来の健康体とは懸け離れている。
一見は健康に見えても、体質が弱い場合が多いのである。
食事だけで健康を求めるなど、飼主の「怠慢」なのである。
もちろん、犬種によって身体の個性が違うから、
身体が求める運動量も実にさまざまなので、
それを洞察することが重大である。
昔はよく、「肥満犬の回復」を依頼された。
その回復は、「段階」を追っていく。
徐徐に徐徐に、段階を追って回復させるのである。
著しい肥満の場合には、身体の内側も弱っている。
見た目だけの問題では無いのだ。
筋肉はもちろんのことだが、
腱も骨も内臓器官も、すべてが弱っている。
だから徐徐に段階を追って回復させていくのである。
幸い、みんな回復して健康体になった。
だが問題は、飼主の自覚である。
飼主を諭す方が困難だと言えるだろう。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2011:12:17 ≫