この映像のビリー・ポールは、70代半ばくらいのはずである。
この曲は40年近い昔に大ヒットしたのだが、
その当時よりも格段に素晴らしい歌唱になっている。
「円熟」という言葉では追いつかない。
「進化」という言葉を捧げたい。
延延とずっと、彼は研鑽を積み上げてきた。
この曲の真のスペシャリストを自負して、
絶え間なく練磨を続けてきたのだろう。
彼はほかに目立ったヒット曲は無いが、
だがしかし、この曲の表現に於いては右に出る者はいない。
もう、歌というよりも、ドラマを観ている感じになってしまう。
曲が出た当時、まだ十代だった私も、夢中で聞いた。
曲名から、なんとなく不倫の歌だとは気付いていたが、
そんなことはさておいて、
とにかくその美しく切ない旋律に感動したのである。
そして今また、さらに新たに感動した。
「表現」とは、まことに果て無きものだと、つくづく思う。
そしてそれを目指し続ける人を観ると泣けてくる。
たとえ外側の肉体は衰えても、
その内側の魂は光り輝いている。
魂に老衰は無いのだ。
魂は無限に進化し続けるのである。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2011:10:24 ≫