**AVE M A R I A**
カッシーニ作曲:「アヴェ・マリア」
ヴォーカル:ソプラノ「スミ・ジョー」
夜の森に光が現われる。いろんな光が。
時には、マリア様のようなシルエットの光も現われる。
「観音様のような」と言ってもいいのだが、
ヴェールのようなものを被っている感じなので、
マリア様と呼んだ方がいいかも知れない。
その時、犬たちは、どうしているか。
犬たち全員が、無言のままに、見つめている。
無言のままに、しっかりと見つめている。
夜の闇の中で犬たちの目は青く光るが、
全ての青く光る目が、マリア様の光を見つめている。
その光はどんな光かと言えば、
「とてつもない優しさ」としか言いようが無い。
とにかく、とてつもなく優しい光である。
だから犬たちも、もはや見つめるばかりである。
もちろん私も、まったく同じである。
光が去ったあと、
言い知れぬ感動で、胸が締め付けられる。
泣きたくなるほどだ。
犬たちもきっと、泣きたくなっているだろう。
実際、しばらくして、彼らはホウルを歌いだす。
慈愛の光への、あふれる慕情を歌うのだ。
いや、我我だけではない。
山の全ての命たちが、
おそらくその光を見ているだろう。
昨日は深夜の山行で、猪母子と会った。
厳しい野生を懸命に生きる母子だった。
あの猪たちも、きっと光を見ているだろう。
彼らもまた光を見つめて、泣きたくなっただろう。
慈愛の光は、そういう光なのだ。
慈愛の光は、全身全霊の命たちを見守っている。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2011:09:30 ≫