<< 愛 犬 愛 撫 04 >>
スキンシップの話を書いてきたが、
あまりしつこい愛撫は必要ない。
だらだらと長く愛撫していても意味が薄い。
だらだらした時間は逆効果を呼ぶことがある。
中身の濃い時間にすることが肝心なのである。
それに、しつこい愛撫を嫌う犬もいる。
そういう犬には、短時間で充分である。
要は時間の長さではなく、
「いかに心を込めるか」である。
≪ 保 定 ≫
スキンシップの話のついでに、
犬体の「保定」について書く。
犬の爪を切る時とか、犬を治療する時とか、
そういう時には犬体を抱えて保定しなければならない。
まず、しっかりと合理の体勢で抱える。
自分の全身を瞬間対応姿勢に整える。
犬に無理な体勢を強いずに、過剰に圧迫せずに、
できる限りに安心感を与えることが重要であるとともに、
確実に保定できるように自分の体勢を工夫する。
無闇に力を入れても駄目である。
最大の力を出せる状態で待機しながら、
その時には余計な力を入れなくていい。
犬が暴れる瞬間に力を入れるのである。
暴れようとする一瞬前に力を入れるのである。
そして犬が暴れることを止めた瞬間に力を抜く。
とにかく、「瞬間」こそが重大である。
因みに力を入れる瞬間には、
腰を入れて脇や肘を絞り、全身力を集中させる。
そして保定者は絶対の自信を持つことである。
保定者が不安を抱けば、即座に犬に伝わる。
そして犬もまたどんどん不安になっていく。
そうすれば保定は失敗に終わるだろう。
自分が胆を据えて沈着すれば、犬も落ち着く。
そして犬も覚悟の気持ちになっていく。
つまり「一心同体」になって乗り越えるのである。
そして施術が終われば、即座に気分転換する。
そしてまた「心の激励」が重要である。
心の激励は、犬に伝わるのである。
ところで複数人で犬を押さえ込むような光景があるが、
それはとても嫌な光景であり、見たくない。
犬の不安と怖れが、ありありと分かるからだ。
犬に過剰な不安を与える保定は禁物である。
だからこそ己の保定力を常に練磨していく。
できる限りに単独で確実に保定できるように、
日頃から研鑽していくべきだと思うのである。
それこそ指先から手首から肘から、
肩から背中から腰から膝から足首から足裏まで、
身体各部の全てを同時に機能させる意識を高めていく。
己の全身力を一点に集中させる練習も積んでいく。
そうすれば非力な人でも相当な保定力を発揮できるはずだ。
安易に口輪や器具に依存しようとする人も多いようだが、
そういう依存姿勢だと保定力など高まらないと思う。
だいいち、もしその道具が無かったら、どうするのか??
確かに相当に危険な場合もあるが、
心の姿勢としては、安易な依存心は捨てるべきだと思う。
そうすれば己の保定力は格段に高まっていくと思う。
ただし、実際に危険な犬もいるので要注意である。
どのように危険なのかを察知することが重大である。
なお、犬の全身力は相当に凄い。
必死になると凄い力を出すのである。
特に身体の「バネ」の強い犬が凄い。
そういう犬は、大型で無くとも凄い力である。
もし大型でバネが強ければ凄まじい力となる。
≪ →→「05」に続く。 ≫
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2011:08:29 ≫