**≪ 猪 浴 場 ≫**
この森は標高1300mだが、猪が棲んでいる。
猪が棲むには高地過ぎるような気がしたのだが。
だが白銀の冬季でも足跡を見かけたのである。
おそらく季節季節で臨機応変に生活するのだろう。

≪猪の泥浴場::下は前日の写真である≫

写真は猪の「ヌタ場」である。
ヌタ場とは、泥浴場である。
それは主に防虫目的の泥浴であるらしい。
泥で身体を洗い、泥で防虫するらしい。
泥といっても山の泥は、人里の泥とは違う。
人里の汚れた泥とは違うのである。
純な土と純な雨水から成る、純な泥である。
だから泥だらけでも、綺麗なのである。
人は泥だらけを「汚い」と思うだろうが、
猪の泥だらけは独特の衛生観念の証である。
ところでこの泥浴場は実際には、
とても綺麗な円形が描かれている。
周りは踏み荒らされていないし、
実に丁寧で律儀な入浴である。
猪たちは非常に几帳面のようである。
このヌタ場は犬舎から200mほどの場所である。
この辺りの地面は地中の凍結期間を過ぎれば、
どこも水はけが抜群に良いのだが、
そのヌタ場の場所だけは泥状になるのである。
だからおそらく貴重な場所だろう。
犬の臭覚や聴覚からすれば、
この距離は目前のような近さのはずである。
犬たちは高鼻で嗅いだり、聞耳を立てたりするが、
しかし皆が納得の面持ちで落ち着いている。
犬たちと猪たちとの間には、
どうやら暗黙の了解が成されているようだ。
互いに互いの存在を認め合っているようである。
なお「ヌタ場の辺りには神が宿る」という伝説がある。
≪南無華厳 狼山道院≫
::2011:06:06::