≪ 雪 道 走 破 ≫

<深い「わだち」の上にさらに降雪した雪道>
連日、除雪作業に追われた。
除雪車など来ない山中である。
スコップ一本で延延と除雪する。
さすがに気持ちが沈んでくる。
雪の上に座り込んで嘆息する。
雪に埋もれた道がまだまだ続く。
果てしない作業に思えてくる。
とにかく少しずつでも前に進まなくては。
少しずつでも前に進めば、必ず開通するのである。
それは分かっているのだが、気持ちは沈む。
毎冬毎冬やってきたじゃないかと、自分を叱咤する。
山小屋から森の犬舎まで行く途中で、立往生した。
タイヤの大きな四駆車だが、それでも限界だった。
そこから歩いて犬たちの世話に向かう。
何時間か犬たちの世話をして、また除雪作業に戻る。
無理して突っ込んで車の腹に雪をギッシリと抱えてしまえば、
そこから脱出するのにまた時間を食う。
だから地道に除雪していくしかないのである。
もちろん、その時の雪質によっても脱出難易度は違ってくるが。
今回は少しずつ前進しながら、その日の作業を打ち切った。
そして数百mを「バック」で戻るのである。
Uターンできる場所など、どこにも無いのである。
道幅はギリギリである。両側は雪の壁だ。
だからタイヤ一本分でもラインを誤れば、即座に走行不能となる。
しかも途中で2箇所の直角コーナーがある。
コーナー途中で止まれば、そこで動けなくなる。
だからある程度速度を緩めずに走破しなければならない。
そもそもバックで戻ること自体が無理に近い。
だがそれしか手段が無い。
とにかくコンマ何秒の操作の遅れが命取りになる。
全集中力を発揮してバックする。
そうしてどうにか、困難道を脱出した。
いつか中古の「ホイールローダー」でも購入せねばと思っている。
それがあれば、こんな作業ともおさらばである。
だがいつになっても購入できない。
夢のような話である。
この雪道格闘も修行なのかと思うしかない。
ここは冬季は陸の孤島となる。
誰も入って来れない。
<無雪期でも普通車は入って来れないが>
だがその代わりに、犬たちは安心して暮らせる。
何事も、「代償」は避けられないのだ。
犬たちと安心して暮らせる代償を、冬に払うのだ。
≪南無華厳 狼山道院≫
::2011:02:18::