≪ 狼 の 光 ≫
 
仏教は、霊力の話は強調しない。
人人の関心がそちらに向くことを心配する。
現実生活を疎かにしてしまうことを危惧する。
確かに、現実生活が第一である。
確かに、現実の精一杯の努力が第一である。
すべては、それが前提条件である。
それ無しには、すべてが空虚となる。
だがそれとは別の話として、霊力は存在する。
私は、それを実感してきた。
理屈ではどうにも説明できない不可思議な体験を重ねてきた。
だが霊力に頼ることは極めて危うい。
霊力に依存することになれば現実が危うくなる。
だから「バランス」が非常に重大となる。
バランス感覚を失えば、現実を失うこととなる。
霊力に憧れる人は多いが、
その前に、まず現実での全身全霊である。
だが霊力は・・・確かに存在するのである。
 
これまで、いろんな体験があるが、
「狼」に関するエピソードを書いてみる。
狼に関しても不思議な体験が一杯あるのだが、
今日は、ある特殊感覚者の話を紹介する。
 
昔、特殊感覚を持つ人と出逢った。
その人はつまり、見えないものが見えるのである。
「特殊感覚」を持つ人は、実際にいる。
だがその感応力は、人によって大きく異なる。
その人は本物の感応力を持っていると直感した。
 
その人に、亡き愛狼の話など微塵もしていない。
狼や犬たちとの人生など、一言も伝えていない。
だがその人は、こう言った。
 
あなたの後ろに、何かいる。
 とても大きい!!
 物凄い迫力!!
 怖い!!
 クマ??
 クマなの??
 凄い目!!
 凄い目で私を見ている!!
 え??
 クマなの??
 クマってこんな凄い目をしてるの??
 
私はもう、とっくに分かっていた。
それがオオカミであることを。
それが「太郎」であることを。
それでその人に問いかけてみた。
オオカミの特徴を指摘してみたのだ。
そうすると、その人は驚いた。
「なんで分かるの??」・・と。
 
 そう!!
 目も耳も口も、その通りよ!!
 え??
 オオカミ??
 オオカミって、こんなに凄いの??
私、オオカミを知らないのよ。
見たことないし。
 犬と違うの??
 オオカミって、こんなに大きいの??
 こんな凄い迫力なの??
 怖い!!!
 凄い目!!!
 私を見つめてる!!!
 
その人は、だんだんリラックスしてきた。
そしてさらに集中する。
 
オオカミが、あなたを包み込むような感じ。
 あっ!!
 大きな光になった!!
大きな光の玉になって、あなたを包み込んでいる。
 白い光!!
 凄い!!
 白い光よ!!
 
私は、感無量だった。
涙が溢れてきた。
 そうか・・・
 太郎が・・・
 私と太郎との絆は、ほんとうだったんだ・・・
 絆の力とは・・・
 愛の力とは・・・
 信じられないくらいに凄いんだ!!!
 
その人は、さらに言葉を続けた。
なんと、野生世界でのオオカミの姿も見てしまったのだ。
 
 あっ!!
 遠くの何かを見つめてる!!
背を低くしている。
片方の足を少しだけ上げてる。
 あっ!!
 シカがいる!!
シカがオオカミを見ている。
 シカがオオカミに何か言っている!!
 オオカミが力の塊りになってる!!
 凄い力!!
 オオカミがシカに何か言ってる!!
 凄い!! 凄い世界!!
 
その人の描写は凄かった。
野生とは全く縁遠い人なのに、
専門家も知らないような描写を続けるのだ。
これには私も驚いた。
オオカミ独特の動きでさえも描写する。
知るはずの無い領域を、実況中継のように描写する。
 
だが私は、そこで言葉をさえぎった。
 もういい・・・
 もう、分かったよ・・・
 もう、充分に分かったんだ・・・・・
 
しかしその人の言葉は終わらない。
 あっ!!
 いっぱい光が現われてきた!!
 これは犬??
 犬だと思うけど・・・
 なんか、みんなであなたを守っている感じ・・・
 あなた、なんでこんなに守られてるの!!
 分かった!!
 あなた、オオカミや犬と暮らしてたの??
 あなた、本当に愛していたのね・・・・
 あなた、幸せね・・・・
あなた・・今からあなたに、
 光たちからの伝言を伝える・・・・
 
おとうさん。
ありがとう。
おとうさんと生きて、みんなうれしかった。
おとうさん。
力を信じて。
おとうさん。
大丈夫だよ。
おとうさん。
いつも、いっしょだよ。
  いつも、おとうさんといっしょだよ!!!
 
 私は・・・・・
私は・・その場に泣き崩れた。
 
≪南無華厳 狼山道院≫
::2011:02:11::