










山は零下20度の世界に入った。
昨日は午後2時で、すでに零下10度を超えていた。
そして4時頃から、一気に寒気が加速するのである。
雪も降った。吹雪気味だったので、寝小屋の中まで白い。
犬たちの世話が延延と終わらない。
雪に埋もれると作業が格段に増える。
運動と給食だけでも数時間かかるが、
いろんな作業が加われば深夜まで終わらない。
犬たちは元気満満だ。
元気満満だが、注意深く彼らの様子を観察する。
まず、最初のスタート時の様子を詳しく見る。
犬舎から出てダッシュした時の「走り方」を詳しく見る。
そこで大体すべて分かるが、一瞬に見なければならない。
瞬間的に次次と、すべての犬の動きを見ていく。
彼らの本調子の動きを知っていれば、不調時の動きは一発で分かる。
すぐさま直感的に「おかしい!!」と気付く。
だから日頃から、彼らの動きの細部を見ていることが肝心だ。
身体の状態だけが分かるのでは無い。
彼らの精神状態も、ありありと分かる。
だから「深く見る」という日課は、非常に重大だ。
運動は手綱散歩とフリーランの両方だ。
犬たちはどちらの場合も、よく指示を聴いてくれる。
山は動物たちの匂いと気配に満ちている。
犬たちは彼らの居場所や行動を知っている。
山で磨かれた感覚で、辺りのすべてを感知している。
だが我我家族には暗黙の約束がある。
そして犬たちはその約束を守ってくれる。
ダイナミックに躍動するが、暗黙の約束は忘れない。
雪の状態は最高だ。
酷寒だからサラサラの粉雪である。
手で握ってもサラサラだから握れない。
いろんな点で、粉雪は大変に有り難い。
有り難いのだが、その代わりに強烈な寒気である。
零下10度を超えてくると、体力の消耗が激しい。
寒気に晒されているだけで相当に疲労する。
身体の中が、熱を生み出すために物凄く活動しているのだろう。
それにしても、犬たちは強い。
身体だけでなく、精神が強靭である。
なにひとつ愚痴らず、いつもいつも前向きである。
もし心が酷寒に挫けたら、身体も挫けてしまうことを、
本能の奥底で知っているのだろう・・・・・
■南無華厳 狼山道院■