
<2010年6月4日>
このTUNDRA・WOLFは、相当に大きな雄だろう。
学名では「カニスルプス・アルバス」といい、狼の最大種と言われている。
<大きな雄なら、立ち上がれば2mを超えるだろう・・>
写真では一見、犬に似ているように見えるだろうが、身体の造りが全く違う。
その口吻も、実際には物凄く太く頑丈であり、
その口を開ければ、驚くほど大きな歯牙が並ぶ。
もちろん「牙」は大きいが、「門歯」もまた実に見事だ。
そしてその歯牙は太くガッシリとアゴに埋め込まれている。
この、狼のアゴと歯牙は、まさに「芸術」だと感嘆する。
だがそれは、それだけを意味しているのではない。
それが強力であればあるほど、身体の他の部分もまた強力なのである。
なぜなら、他の部分が強くなければ、アゴと牙の力を活かせないからだ。
というよりも、他の部分が負荷に耐え切れずに壊れてしまうからだ。
つまり、狼の牙は、狼の全身の強さを示しているのだ。
だがこの狼の身体は、一朝一夕に出来上がったものではない。
途方もなく長い歴史の果てに成されたものなのだ。
野生世界の途轍もない鍛錬の歴史の果ての結晶なのだ。
その肉体だけではない。
狼の「超感覚」もまた、そのような苦闘の歴史の賜物なのだ。
狼が、見る。
相手の心の底まで見つめる。
相手の僅か数mmの挙動まで見抜く。
狼の感覚と肉体が一体となる。
寸分の誤差なく全身がシンクロする。
はるか数km先の気配を感知する。
それがどのような種類の気配であるかを察知する。
はるか数km先の仲間に、無言で意思を伝える。
数キロ先の仲間は、それをキャッチする。
私はそれらを、この目で見てきた。
私が感動したのは、その力が、その能力が、
途方もない苦闘の歴史の賜物であることを知ったからだ。
それは、その背後に隠された偉大な物語の結晶体である。
だがそれは、狼に限ってのことではない。
すべての命たちが、そうなのである。
■南無華厳 狼山道院■