<2009年9月23日>

四ヶ月前、「ゴン」がマムシに咬まれた。

その時、ゴン(厳)とドウ(道)と私で、森の奥をトレッキングしていた。

彼らはいつもは必ず私の見える範囲で行動するのだが、

その時は一時、彼らが視界から姿を消した。

もちろん、すぐに彼らを呼んだ。

だが彼らは、何かに気をとられていた。

しばらくして、ドウは戻ってきた。

だが、ゴンが来ない。

更にしばらくして、ゴンが戻った。

私はゴンの歩調に、ほんのかすかに違和感を覚えた。

だが元気に走ってきたので、その時は、深く心配しなかった。


その翌々日から、ゴンの片足が猛烈に腫れてきた。

尋常な腫れ方ではなかったので、「マムシだ!!」と直感した。

( おそらくゴンは、間合いを超えて、マムシに近づき過ぎたのだ。

自然界の暗黙の了解を侵して、接近し過ぎたのだ。)

だがマムシの場合、獣医によって処置がさまざまに異なると聞いていた。

そして決定的なことに、そのとき私には獣医に診てもらう金が無かった。

それで、この手で治療することにした。


ゴンは雄のmixdogだが、小振りな甲斐犬をスマートにしたような体格で、15kgくらいだ。

だがそのサイズにして凄い運動能力を秘めている。

疾走してそのまま2メートルの高さをジャンプするような忍者だ。

そしていつもいつも、元気満々だった。

その強健な元気者が、元気を無くして動かない・・・

もちろん、食事もまったく受け付けない・・・

あれほど猛烈に食欲旺盛だったのに・・・


私は、無我夢中で治療を試みた。

腫れた部分を切った。

大量の膿がほとばしって流れ出た。

やがて血膿になって、どんどん出てくる。

私はその周囲を指で押しながら、できる限りに血膿を排出しようと努めた。

ゴンを抱きながら、励ましながらそれを続けた。

そしてある程度に膿が出切ると、タオルを使い、水で何度も何度も洗った。

足だけでなく、全身を足に向かって水タオルで洗い冷ました。

そして拭き終えて、テントの中に横たえた。

毎日毎日、血膿が流れ出た。

そして毎日、その治療を施した。

四日目くらいに、ゴンは初めて水を飲んだ。

本当にうれしかった。少しだけ安心した。

五日目くらいから、血の色が綺麗な色に変わった。

膿は、ほとんど出なくなった。

ゴンは水をいっぱい飲むようになった。

どんどん、水を与えた。

今は何よりも、彼には水が必要なのだ。

全身の水タオルマッサージは、ずっと続けた。

彼を励ましながら、抱きしめながら、ずっと続けた。

一週間目頃に、初めて食事に口をつけた。

少量ずつ、与えた。

少しずつ、その量を増やしていった。


ゴンの身体は、見る影も無いほどに痩せてしまった。

彼は身体の中の全てのエネルギーを使い果たしてしまった。

だが彼は、散歩にいきたがった。

歩くことすらままならないのに、自分で排便に行こうとした。

最初は私が手を貸したが、やがてよろめきながらも、自分でできるようになった。

それから何日かすると、少し歩けるようになった。

そして食事は、従来の食事量に近づいていった。

どんどん食べさせた。

今は大量の栄養が必要なのだ。


それからは、どんどん復調していった。

咬まれた足は、依然として地面に着くことができないが、彼は三本足で走った。

彼には、いささかの気落ちも無かった。

ファイト満々で、三本足で駆け抜けた。

三本足でも、ゴンは素晴らしいスピードだった。

だが、その足は簡単には回復しなかった。

その足は筋肉を失い、硬直していた。

私は毎日、その足を揉んだ。

マッサージしながら、徐々に伸ばしていった。

そして毎日たっぷりと運動させた。


そしてやっと四ヶ月たって、疾走の時に、わずかに着けるようになった。

その足が、少し伸びるようになったのだ。

それを見たとき、本当にうれしかった・・・

今日もその足をマッサージしてきたが、肉が付いてきた。

手応えも、だいぶ柔らかくなってきた。

その足の完全回復は無理かもしれない。

ゴンのあの身体能力の再現は見れないかもしれない。

しかし、笑顔で元気一杯に走れる姿を見れて、本当によかった。

それにしても、彼のめげないファイトに、感服した。

改めて、犬たちの凄さを思い知らされた・・・・

※今、被毛もピッカピカだ。 体調は実に申し分ない!!

■南無華厳 狼山道院■