<2009年7月8日>

昔、アメリカン・ネイティヴの人から、いろんなことを学んだ。

その人は大自然の中で育ち、無数の実体験を積んでいた。

その後、各国を放浪し、さらに体験を積んだ。

民族運動の闘士でもあり、身体に弾痕を残していた。

その人は大変な博学であり、仏教にも詳しかった。

私に「華厳仏教」を紹介してくれたのも、その人だ。

その人とは、長い長い手紙を、何十通と文通した。

それは何冊もの本になるくらいのボリュームだった。

その人は、いくつもの詩を私に贈ってくれた。

その中のひとつが、「狼の歌」だ。

その人は、「この詩の中に、すべてが込められている・・」と言った。

そしてその人は、さまざまな実話を話してくれた。

その中に、「子鹿と狼」の話がある。

今日は、その話を紹介します。


≪子鹿と狼≫

母鹿は我が子に、何度も念を押した。

「いいかい、ここにいるのよ・・・じっと、ここにいるのよ!!」

「私が帰ってくるまで、静かに、ここにいるのよ!!」

子鹿はつぶらな瞳で、母の言葉をじっと聴いていた。

子鹿は母との約束を守り、じっと静かに、そこを動かなかった。


そこに、狼たちが訪れた。

風のように、やって来た。

その狼たちが、どのような行動を取ったか・・・・

狼たちは、子鹿を優しく取り囲み、次々と子鹿の顔を舐めた。

そして狼たちは、音も無く去って行った・・・・

このうえない御馳走のはずの子鹿を、狼たちが舐めて愛撫して去って行った・・・・


その人は、一部始終を見ていたと言う。

「大自然は、食べる食べられるだけではないのです。

そこには説明不可能な不可思議な出来事が一杯起こるのです・・・」

大自然が、単なる「システム」ではないことを、その人は何度も強調した。

■南無華厳 狼山道院■