<2009年4月10日>

犬たちの世話の後に野性禅に入り、

そして山を降りてこれを書いている。

標高1300mの森の夜は、まだ寒い。

今の気温は、多分零度くらいだろう。

山は、まだまだ白いままだ。

ここは北面だから、長く雪が残るのだ。

山から降りると、別世界のように暖かい・・・・

※パソコンは、壊れたままだ。

その中には膨大な時間を費やして書いた原稿も入っていたが、

それも多分消失しただろう。

しかし、しかたの無いことだ。

また思い出して書くしかない。


「A12」よ。

貴様と話していると、

仔細な話を延々と続けなくてはならなくなる。

大抵の人は、大筋を読めば大体を推理できるが、貴様は別だ。

貴様は推理能力が欠けている。

それとも、俺に時間を費やさせることが貴様の目的か??

貴様は「つっこみ」専門の特殊工作員か??

貴様の職業は何だ??

訓練士か?ハンドラーか?飼育係か?ブリーダーか?動物商か??

それとも、愛護活動家か??

たくさんの命を、保護してきたのか??

たくさんの命を、救ってきたのか??

実際に自分の手で、窮地の命たちを、愛護してきたのか??

もしそうならば、

命を救うことが、どれほど大変か、貴様も知っているはずだ。

保護活動に、どれほど忙殺されるかを、知っているはずだ。

その人に財力があれば、多くは解決できる。

だがそんな人は、いないに等しい。

だから、ほとんどの人は、悪戦苦闘の中で己の身を削っている。

誰だって、生活は大事だ。

誰だって、順調に進みたい。

だが動物愛護に関われば、さまざまな障害に遭遇する。

次々と不測の事態が起こり、

だんだんと思いがけない不本意な状況に嵌まり込んでいく。

そして多くの活動家は、心も身体もボロボロになる。

貴様も、自分の生活を犠牲にして活動した体験を持っているのか??

それとも、一度の体験も無しに語っているのか??

すべては、貴様の頭の中だけの倫理観を元にした発言なのか??

貴様、聖人君子の自称愛護家よ。

貴様は、動物たちの本当の敵を糾弾せずに、

非力な弱者の個人活動家を攻撃してきた。

貴様の真意は何か??

なぜ、動物虐待者を探し出して抗議しない??

なぜ、劣悪環境動物商を探し出して抗議しない??

なぜ、過剰繁殖を繰り返すペット産業に対して抗議しない??

貴様の探索能力ならば、探し出すことなど容易なはずだ。

それとも、そんなつもりは微塵も無いのか??

貴様は動物たちの本当の敵になど無関心で、

貴様の判断による「落ち度ある活動家」を攻撃することが一大事なのか??

貴様の「許せない!!」とは、そのような感覚なのか??

もし本気で「動物の敵」と闘うなら、いずれは自分の姿を晒さねばならなくなる。

貴様の正義心が本物ならば、

快楽のために虐待を続ける冷酷失調者や、

金儲けのために命の尊厳を無視する無情守銭奴や、

命を玩具扱いする支配飼育家を、

放っておくことなどできないはずだ。

貴様の正義心が本物ならば、己の身を晒して闘うはずだが・・・・・


貴様のような人間によって、

非力ながらも動物を救おうとする優しき人々が、ますます誤解され迫害される。

そして動物たちは、ますます窮地に立つ。

貴様の真の目的は何だ??

貴様の行為は、動物たちを追い込むことになる。

貴様は本当は、それが目的か??


※貴様は咬まれることが、そんなに怖いのか??

なぜそんなに緊張して身を硬くする??

なぜそんなにガードを固めて身構える??

そんな心境で動物と対話できるのか??

そんな心境の人間に、動物が心を開くとでも思っているのか??

人に「犬は咬む!!」と宣伝して、どうする??

それによって人々の警戒心を煽って、どうする??

それによって人々が、犬に対する概念を誤ったらどうする??

犬たちの「我慢」を知っているか??

犬たちが、どれほど己を抑えて飼主を立ててくれているかを、知っているか??

抑えた咬み方で、せめてもの抗議を訴えることもあることを、知っているか??

優しい咬み方で、愛情表現することもあることを知っているか??

彼らが微妙な咬み方で「会話」することを知っているか??

咬み方は、千差万別だ。

彼らにとって「咬む」ことは、意思の表現だ。

それが一体どのような意思によるものかを知らねばならない。

攻撃心か??恐怖心か??せめてもの抗議か??

剛胆によるものか??臆病によるものか??興奮性によるものか??

いかなる時でも、それを冷静に判断しなくてはならない。

貴様は「覚悟!覚悟!」と喚くが、貴様の覚悟とは、一体なんなのか??

咬まれることを常に念頭に置くことが、貴様の覚悟というものか??

だとしたら、貴様は動物への猜疑心に満ちている。

貴様は、動物の純情の実像を、まだ知らない。

俺は、彼らの純情を、世に訴えている。

貴様はだから、俺が気に食わないのだ・・・・・

狼が、巨大な牙で、優しく俺を咬む。

俺も、優しく、狼の唇を咬む。

レスリングの遊びの時、

狼の太い首筋を、わざと強く咬んでみる。

狼も、わざと微かに声を上げて、俺に答える。

それが我々の会話だった。

朝の挨拶。

狼が立ち上がる。190cmを超える体格だ。

狼が大きく口を開けて、俺の顔を口に包み込む。

俺は狼の口の中で、彼の名を呼ぶ。

狼は満面の笑顔で喜ぶ。

それが我々の毎日の挨拶だった。

20年前の、忘れ得ぬ想い出だ。

咬まれるとか咬まれないとか、そんなものは念頭に無い。

そこにあるのはただ、我が子との対話だ。

■南無華厳 狼山道院■