<2008年10月10日>

秋が深まった。

夏は、瞬く間に過ぎ去った。

7月の初めから昨日まで、仕事に追われていた。

この地域は寒冷地なので、冬には仕事が極端に減る。

だから夏の間に稼がないと食べていけない。

明日の米さえ買えなくなる・・・・・

朝2時に起床。犬たちの世話を素早く済ませて、5時から仕事だ。

夕方の4時に帰宅して、また犬たちの世話を始める。

仕事は肉体労働・・・身体を使って稼ぐしかない。

犬たちの世話を終えると、もうヘトヘトだ。

だが、この後に「野性禅」の時間だ・・・・


狼の山の夜は深い。

蒼い闇の中で禅境に入る。

野性界と交感するために、

動物たちの心を深く感じるために、

この日課は欠かせない・・・・

或る夜、熊が訪れた。

昨年の春以来の訪問だ。

その夜の熊は、少し小さな熊だった。

熊が来る前から、気配を感じた。

辺りの空気が一変するから、すぐに分かる。

もちろん犬たちは皆、とっくに感知している。

「ラップ音」のことは以前に話したが、

頭上で「姿無き小鳥の歌」が聞こえる場合も多い。

この夜も、小鳥が歌い始めた。 夜なのに・・・・

熊は、「小太」の元に走り寄った。

小太は豆柴くらいに小さな柴mixだ。

彼は胸を張って、尾を高々と振っている。

彼が放れて自由な態勢なら、心配は要らない。

だが彼は繋留してあるので、動きが制限されている。

例え熊に悪気が無くとも、不測のアクシデントが起こる可能性が高い。

だから私は声を掛けた。

大きく手を叩き、「だめだよ!!」と呼び掛けた。

熊は小太の寸前で止まった。

束の間、佇んでいた。

小太は胸を張って尾を振っている。

私はもう一度、声を掛けた。

熊は、ゆっくりと戻って行った。

なぜ、小太の元に来たのかは分からない。

そこには、私の推測の及ばない深秘が隠されているのだろう・・・・

山に、食べ物はあるのだろうか??

熊は、食べているのだろうか??

いつも、それを思う。

空腹の辛さ・・・飢えの辛さ・・・

私も絶食は頻繁に経験しているが、

野生動物たちの苦闘に較べれば、私の体験など実に幼稚な次元だろう。

彼らの苦しみ彼らの苦闘を、多少なりとも実感するためにも、私は時に断食する。

夏に、二度の断食を実行した。

一週間の絶食だが、日常活動の中での絶食は苦しい。

断食行だけに専念できれば違った状況になるが・・・・

飢えの苦しみ、肉体の苦しみ・・・かなり味わう・・・

歩くだけでも息が上がる・・・・・

だが、動物たちは、そんな状況の中でさえ、渾身の気力で踏ん張る・・・・

何故そんなにも頑張れるのか・・・・

半分朦朧としながら、いつもそれを考える・・・・・


■今日、3ヶ月振りに、このブログを見ました。

7月の初めにブログを更新したのち、私は野性禅に専念しました。

全身全霊で野性界からの声を聴く毎日でした。

仕事以外の全ての時間を、それに充てました。

人間の思考から離れた領域に自分を置きました。

久し振りにブログを見て、驚きました。

皆様から実に沢山のコメントが寄せられていた・・・・

さまざまなコメントの数々・・・

厚い励ましの御言葉、心から感謝しています。

ほんとうに有難うございます。

今日は、時間が無いので、返信は出来ないのですが、

近いうちに必ず、返信いたします。

皆様の心からの応援、胸に刻みます。

狼の山から、皆様の平安を祈ります。

■南無華厳 狼山道院■