
犬たちは実に表現豊かです。
その表情も刻々と変わります。
遊びを誘うポーズ、遊びを誘う表情、
遊びを開始する瞬間の、そこに流れるスリリングな空気、
ワクワクの静寂の次の瞬間に突然幕開けされるダイナミックゲーム、
そこには心に満ち満ちたドラマが溢れているのです。
例えば犬が仰向けになったからといって、
「服従」を表現しているばかりではないのです。
愛撫してもらいたかったり、
わざと自分が寝転がってレスリングを誘ったり、
そこには実にさまざまな意思が隠されているのです。
まるで数式のような「動物行動学」は、
犬の心の世界など殆ど無視していますが、
そこは鮮やかに彩られた深秘の世界なのです。
今日は、ごくごく簡単に犬の表現の一例を紹介します。
文章で語ると膨大な量になってしまうので最小限に抑えますが、
これらは皆さんが御存知のことばかりのはずですが、
犬との暮らしの浅い人には参考になると思います。
※これはほんの一例に過ぎません。
※犬は常に「全身」で表現します。彼らの全身を観ることが肝心です。
<犬の表現スタイル一例>
::喜びの時::
*顔は笑顔で、全身が弾んでいる。*耳を寝かせる時も多い。
*凄くうれしいとお尻を振ってくねらせる。
*地面に前半身をつき、両手で顔をはさんで、顔を洗うような仕草をする。
*「くしゃみ」を繰り返したりする。(心の衝動の身体表現)
*立ち上がって、相手の顔を舐めようとする。
*特に子犬の頃には「おしっこ」を漏らしたりする。
※まさか、その「おしっこ」に対して怒る人はいないでしょうが、
それほどまでに「うれしい!!!!」のです。
::愛撫を求める時・遊びを誘う時::
*前半身を伏せて腰を上げて、お尻と尾を振って遊びを誘う。
*自分から寝転がってレスリングのスタートを誘う。
*いたずらっぽい目になって、目で遊びを誘う。
*片手を上げて相手の顔付近に触れて、自分の喜びを伝える。
*仰向けになって、お腹を見せて愛撫を求める。
::許しを願う時::
*片手を上げて、その手を少し上下して、心から許しを哀願する。
*仰向けになって、悲しい顔で、心から許しを哀願する。
※これらの表現の時、絶対にそれ以上怒って犬を追い詰めてはなりません。それは絶対のタブーです。
犬は精一杯、心からの謝罪を表明しているのです。それ以上の方法は無いのです。
それなのに、なおも怒り、追い詰めたら、犬は困惑し、混乱し、孤独な悲しみに染まります。
それはもはや「罰」ではなく、完全な「いじめ」です。
::悲しい時::
*目が悲しみに沈み、肩が力なく落ちている。
※犬の全身に心境が現われますので、誰でも分かります。
::警戒の時・怒った時::
*全身に、硬質の力が漂っている。
*背中全体の毛が強く逆立っている。
*耳は伏せている時と、堅く立っている時があります。
全身に硬質の力を漲らせ、耳が堅く立っている時には戦闘態勢に入っている場合が多い。
*目は厳しく、深い黒緑色に燃え、口元は締まっている。
*威嚇や抗議の時には、牙を剥いている。但しこれは戦闘態勢とは異なる。
*本気で闘う覚悟のある時には、四肢を踏み締め、尾に力が込められている。
尾をゆっくりと振る場合もある。アゴを引き締めて頭は高く掲げる。声は出さない場合が多い。
瞬間の反応を可能にするための、最大の瞬発力を発揮するための、そのための姿勢に入る。
*豪胆の犬は寸前まで自然体を保つが、瞬時に戦闘姿勢に移れる。声は一切出さない。
*少し自信の無い場合や本気で無い場合は、片方の前足を少しだけ浮かし、
瞬時の回避が可能な態勢をとる。この心境は当然、相手に伝わっている。
*「警戒・警告・抗議・威嚇・攻撃」のサインは、
時と場合により、そして犬により、微妙に異なるので、一概な判断はできません。
しかしいずれにせよ、そこには「硬質の気配」が漂っています。
::鎖で係留された犬::
「繋がれている犬」は、自分の動きが拘束されていることを知っています。
思うように防衛できず、思うように回避できない立場にあることを知っています。
その立場は実際に事実です。犬の立場は不安要素に満ちています。
自在に闘うことも、敬遠することも、逃げることもできないのです。
ですから当然、警戒態勢に入りやすい心境になっています。
危険回避できない状況なのですから、それは当然です。
ですから「面識の無い係留されている犬」に近づく時には、彼らのその心境を心得てください。
その犬の気質によって近寄り方は千差万別ですが、「静かにゆったりと」が基本です。
自分の気配を鎮め、やや姿勢を低くして、犬の顔を強く直視せず、静かにゆったりと近づきます。
大きな帽子を被ったり、手に何かを持ったり、大袈裟な服装をしたり、音を立てたり、
ザワザワと落ち着かない雰囲気を出したり、そういった状況を犬は嫌いますので要注意です。
もちろん、大人数での接近には警戒しますから、それも要注意です。
接近していきなり手を犬の頭上に持っていく行為は避けるべきです。
触るにしても、まずは犬の肩付近から触り始め、その手を犬の身体に触れたままで移動させます。
肩から首へ、首から頬へという感じで移動させます。
もちろん「やさしく」ですが、手が緊張でこわばってはいけません。
そして愛撫を終えて立ち上がる際には、決して急激に立たずに、静かにゆったりと立ちます。
ゆっくりと後ずさりしたのちに、姿勢を返して立ち去ります。
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