
犬たちには、さまざまな個性があります。
100頭いれば100の個性があります。
個性は、命の輝きです。
その命の輝きを、その子の真髄を、その子の本領を、
それを知ってあげることこそが「共に生きる」ということです。
「個性」には、深い理由が隠されています。
調和の中でのそれぞれの重大な使命があるから、
すべての命が、それぞれに深秘で絶妙な個性を秘めて誕生するのです。
だから、たとえば犬を、
まるでマニュアル本のような感覚で分類・分析することなど不可能です。
不可能であるとともに、それは「誤解」の原因となります。
従来の「しつけ訓練」は、一言で言えば「操縦法」です。「操る」感覚です。
しかしその方法は、簡単に限界が来ます。
人間の理解の範疇の個性の犬ならば操縦できますが、
「理解を超えた個性の犬」の場合には悲劇が訪れます。
(※「理解の範疇」といっても、実際には半分も理解していない場合が多いようです。)
人間が頭で考えても、異種族の命の個性を洞察することなどできません。
マニュアル感覚で個性を洞察することなどできないのです。
今まで人間は、「犬の個性」と真剣に対峙してきませんでした。
犬たちの個性など眼中に無かったのです。
無数の「操縦不能な犬」たちが世間から抹殺されてきたのです。
(※犬に限らず、「動物たちの個性」に対して無関心だったのです。)
個性を理解するには、自分自身を磨かねばなりません。
自分を磨くことが、「理解困難な個性」を理解する唯一の方法なのです。
自分に潜む全感覚を起動して、本物の真剣心で相手を心観するのです。
いつも真剣に相手を観ていけば、感覚はだんだん研ぎ澄まされてきます。
それまで理解できなかったことが、理解できるようになります。
そうすると、だんだんと相手に対応できるようになります。
「だんだん」です。一歩一歩です。
その感覚が「自分の身体そのもの」となっていけば、真の対応ができるようになります。
「咬む犬」が問題になることがあります。
しかし一口に「咬む」といっても、理由はさまざまです。
「咬み犬!」と、絶対に十把一絡げにはできないのです。
そして「咬む」といっても、それは「抗議・警告」の場合がほとんどです。
そしてほとんどの場合、彼らは「加減」して咬んでいます。手加減しているのです。
理不尽を受けて抗議で咬む場合。
理不尽に対して警告で咬む場合。
極度の警戒心による過剰防衛で咬む場合。
極度の警戒心によるパニックで咬む場合。
興奮性の強気で咬む場合。
興奮性の弱気で咬む場合。
剛胆で咬む場合。シャイで咬む場合。
限界まで追い詰められ、やむなく咬む場合。
恐怖心や葛藤の末の混乱により、先制手段で咬む場合。
などなど・・・・・。
「咬む」といっても、その理由は実にさまざまで千差万別なのです。
それを安易に「しつけ訓練」で対処しようとしても無理です。
一方的に犬を制御しようとしても根本の解決策にはなりません。
逆に、ますます混乱の迷路に踏み込むことになります。
飼主が自分を、「対応できる自分」に変えていくのです。
飼主の心境・姿勢が変われば、犬の態度・行動も相当に変わります。
だんだんと変わる場合もあれば、劇的に変わる場合もあります。
しかし犬が変わっても、自分自身の研鑽練磨を続行することです。それが肝心です。
具体的な対応方法を書くと延々と終わらないので、ここでは省略しますが、
しかし最も重大な対応条件は、飼主の「心の姿勢・心の状態」です。
その「心」については、書庫に一杯関連記事がありますので、御参考ください。
犬と本気で付き合うとき、自分自身の「心の境地」が重大です。それに尽きます。
※「咬む」という行為は、犬にとっては不自然な行為ではありません。
それは彼らの「表現」の一手段であり、彼らの「対話」の一手段です。
微妙な咬み加減で、さまざまな咬み方で、意思を伝えるのです。
愛情表現の甘咬み。遊び範囲の真似咬み。軽い抗議の牙当て。などなど・・・・・。
しかし人間は、とにかく咬まれることが怖いので、過剰反応に陥りやすいのです。
※犬は余程の事情でなければ人間相手には咬みません。
犬は人間に対しては、気の毒なほどに気を使っているのです。
まずそれを、分かってあげてください。
犬が咬まないことを、決して当たり前だと思わないでください。
本当は犬にも「抗議の権利」のあることを知ってください。
その心得を持つだけでも、飼主を観る犬の目は違ってきます。本当です。
相手の個性を知ることは「共生」に直結しています。
互いに相手の個性を認め、互いに相手の個性を尊び、そうして対話が成立するのです。
相手の真の個性を知るには、偏見や固定観念が決定的障害になります。
人間は固定観念に縛られているから、だから動物たちの個性が見えないのです。
本心から固定観念を捨てることは容易ではありませんが、しかしそれが「練磨」です。
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