<2008年3月31>

花に、魂がある。

それを強く感じる。

狼の太郎は、花をジッと見つめた。

ジッと見つめて、その場を動かない。

愛しそうに、大切に、そっと見つめ続けるのだった。

おそらく太郎は、花の魂と対話していたのだろう。


花を見ない人がいる。

花など眼中に無い人がいる。

無造作に踏みつける人がいる。

無造作に折り取る人がいる。

そういう人は花に魂があることなど、金輪際信じないだろう。


狼山舎のKeikoは、不思議感覚の持ち主なのだが、「花の光」をよく見る。

「木の光」もよく見るが、花の光も頻繁に見る。

「生きている花」が光に包まれている光景も見るし、

空中に、「光の蓮の花」が浮いている光景もよく見る。

この「蓮の花」を見る機会が一番多いが、

さまざまな種類の、さまざまな色の光の花を見るという。

彼女は、花に魂のあることを確信している。


私には、花の光は見えない。光の花も見えない。

だが、花の魂を強く感じるし、揺るぎ無く確信している。

花は、ただ咲いているのではない。

花は、ただ美しいのではない。

花は、みんなに喜びを与えている。

花は、みんなを癒している。

花は、みんなに生きる勇気を与えてくれる。

人間だけのために咲く訳ではない。

花は、野性界のみんなのために咲いてくれているのだ。

それが花の使命だと、強く感じる。

それが自分の使命であることを、本能の奥深くで花は知っているだろう。

もちろん、花にだって過酷な苦労がある。

楽しげに咲いている花にだって、誰にも分からない辛い苦労が隠されている。

だが花は、その苦労を微塵も見せず、ただみんなを癒してくれる。

こんなに凄いことはない。

こんなに凄い命を、人はただ「ああ綺麗だね」のひと言で終わらせる。

私は太郎の、花の魂と対話する姿に胸を打たれた。

私もいつか、もっともっと花と対話してみたい。

**** WOLFTEMPLE ****