<2008年3月9日>

午前4時半。

犬たちの世話が始まる。

心が引き締まる。

始めたが最後、ノンストップだ。

みんなが、次から次へと順番を待っているから、のんびりなどしていられない。

肚に気合を入れる。 さあ、スタートだ!!


「ウッホー!!!」とみんなが喜びを爆発させる。

「お父さん!!お父さん!!お父さん!!」

物凄いエネルギーだ。

その凄いエネルギーが一気に私に向けられる。

みんながジャンプしながら私を取り囲む。

物凄いスピードで交錯しながら私めがけてジャンプする。

私は次々とその喜びの洗礼に応えながら作業を進める。

確かに可愛い。 確かに楽しい。

だが余りにもスピードが速すぎて、それどころでは無いのだ。

放っておけば、これが延々と続く。

これでは作業が進まない。

次の子たちも待っているのだ。

「分かったよ!!分かったよ!!」制止しても、その喜びの興奮は収まらない。

「いい加減にしろ!!」まだ収まらない。

「いい加減にしろ!!止め!!!」一喝するとピタッと収まる。

本当は一喝したくはないのだ。でもしかたがない。これでは作業が終わらないのだ。

犬たちは一斉に座り、ピクリとも動かない。

みな、神妙な顔で正座している。

ここで私が一瞬でも微笑んだら、すぐさま、即座にさっきの状態に戻る。

犬たちは私の一喝を神妙に受け止めているのは確かだが、いささかも怖れてなどいない。

その時は私を立ててくれているだけなのだ。

だから私の心境が僅かでも緩めば、一瞬に元の状態に戻るのだ。

彼らは、私の心境の変化を見逃さないのだ。

私は叱る時には相当に厳しい。 時には相当に烈しく叱る。

もし近くに人でも居れば、その人は驚いて怖がるだろう。

だが、みんなの安全に関わることだから、命に関わることだから、だから厳しく叱咤するのだ。

犬たちはそれを分かっている。 それを了解している。

だから私に叱られても決してへこたれない。 すぐに元の明るさに戻るのだ。

世話が一段落すると、今度は少ない頭数で存分に触れ合う。

この時点で、やっとゆったりとした対話ができる。

すべての世話が終り、今度は静寂の中で、沈黙の対話が始まる。

対話の形はいろいろだ。 さまざまな形の対話がある。

ただし、どんな形の対話のときも、真剣だ!!

**** WOLFTEMPLE ****