<2008年3月8日>

犬は、エサ欲しさに忠義を誓うのではない。

犬は、おやつ欲しさに慕うのではない。

犬は、何かを求めて主人を愛する訳ではない。


とにかく、好き!!

心の底から湧きあがる本心で、好き!!

どうにもならないほどに好きだから、全身で喜びを現わす!!


そんなに愛されて、あなたは幸せ者だ。

一片の嘘もない愛を捧げられ、あなたは世界一の幸せ者だ。

あなたもきっと、その犬を愛しているだろう。

無償の愛を捧げられ、それを裏切ることなどできないだろう。

ありがとうございます。

その人情に、ありがとうございます。


おやつが欲しいんじゃない。

その子は、あなたの手から差し出される愛情に喜んでいるのだ。

おやつそのものではなく、あなたの気持ちがうれしいのだ!!


その子は、いつもあなたのことを見つめている。

限りなく澄んだ目で、あなたのすべてを見つめている。

あなたが一生懸命に食事の用意をしてくれる姿を。

あなたが一生懸命に掃除してくれている姿を。

あなたが必死にかばってくれる姿を。

あなたが力の限りに愛してくれている姿を。


ありがとう!ありがとう!ありがとう!

その子はいつもありがとうと言っている。

お母さん、お父さん、ありがとう!ありがとう!ありがとう!

そんなに感謝されて、あなたは世界一の幸せ者だ。


この世に一体、そこまで愛されている人はいない。

この世に一体、そこまで感謝されている人はいない。

あなたは、この世で最も尊い真実を体験できる幸運な人なのだ!!



だが、気付かない人がいる。

その子の愛情表現を毛嫌いし、徹底的に拒否する人がいる。

「座ってろ!!待ってろ!!飛びつくんじゃねえ!!言うことを聞け!!」

いつもいつも、その言葉だけで終わる。

表現を拒絶されたその子は、やがて自らに心を閉ざす。

心を殺さなければ生きてはいけない状況に追い込まれるのだ。

やがて、主人の屈折した感情の矛先がその子に向けられる。

屈折した感情を満足させるための格好の獲物が目の前にいるのだ。

何をやっても怒鳴られる。 隅で震えていても怒鳴られる。

どんな姿でいても、許されることはないのだ。

当然だ。 許すつもりなど最初から無いのだ。 最初から虐めの標的なのだから。

怒鳴られ、叩かれ、怒鳴られ、叩かれ。 延々とそれが続く。 終わらない。

その子は、片方の前足を上げて、必死に許しを願う。

恐怖と悲しみに満ちた目で、心から、哀願する。

主人は笑う。「おもしろい!! おもしろい!! おもしろい!!」

虐待は、際限なくエスカレートする。

それがその人間の最大の楽しみになる。

地獄だ。 正真正銘の地獄だ。

その地獄が、この世間の中で無数に繰り広げられている。

犬は、人間の失調心境を見抜く。

その怖ろしい失調の心境をその目で見ている。

その怖ろしい心境の独裁者を前に、必死に不安に耐えている。

その怖ろしい独裁者を、それでもなお愛そうとしている。

だがその人間は、天使の愛には興味が無い。

その人間は、愛を破壊することに最大の快楽を感じているのだ。

**** WOLFTEMPLE ****