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<2008年1月2日>

狼が、立っていた。

見事な貫禄の狼だった。

正面を、毅然と見据えていた。

だが次の瞬間、私は言葉を失った。

驚きと悲しみと怒りで、私は正気を失いかけた。

その狼は、足を「ワナ」に捕らえられていた。

「ワイヤートラップ」が前肢に喰い込み、

「その肢の肘下から足先までの全ての肉」を削ぎ落としていたのだ!!

その狼は、肢の上から下までの全ての肉を削ぎ落とされた状態で立っていたのだ。

見るに耐えなかった。怒りの震えが止まらなかった。

どれほどの痛みか、誰でも想像できると思う。

どれほどの絶望か、誰でも想像できると思う。

しかし狼は、堂々と立っていた。正面を見据えていた。

衝撃が身体を貫いた。狼の誇りの衝撃が私の心を貫いた。

その映像は続き、確か3日後、狼は死んだ。

地獄の苦痛の中の狼が死ぬまで、カメラは回っていたのだ。

横たわり瞼を閉じた最期の姿に、私は泣いた。

俺の兄弟、俺の同志が、無念の姿で死んだのだ!!

その映像は、何と「環境保護」を訴える組織が映したものだと言う。

「ワナの実態」をアピールするために撮影したのだと言う。

そうか、そこまでクールか!! そこまで平然と「観察」できるのか!!

命の苦しみを平気で傍観していられるというのか!!!

ワナを仕掛ける人間は論外だ。

「殺す殺さない」の次元の話ではない。

「殺し」にも仁義があるのだ。

「ワナ」は、仁義を無視した卑怯の極みだ。人間の卑怯の象徴だ。

だが、ワナを仕掛けた人間と同等に、撮影した人間も最凶の卑怯者だ。

10年前に見たその衝撃は、今なお私の胸を貫いたままだ。

あの狼の気力の偉大さを、狼の誇りを心に刻み、私は今も祈りを捧げている。


狼の山の祈りに、盆も正月も無い。

365日、祈りの日が続く。

世界中の兄弟たちへ、この一心を捧げていくのだ。

**** WOLFTEMPLE ****