






昨日は土方に行けなかった。
雪が降り、しかし例年になく気温が高かったので重い湿り雪となった。
いつものサラサラの粉雪と違い、重い湿り雪は除雪に時間が掛かる。
森の犬舎周辺と山道の除雪で、仕事に間に合わなくなってしまった。
朝3時に起きて除雪と犬たちの世話を開始したのだが、終わったのは昼過ぎだ。
職場へは、何の弁解も出来ない。
雪が多かったからとか、犬たちの世話に時間が掛かってしまったからとか、
仕事にそんな言い訳は一切通用しない。
普段どんなに頑張って働いていても、こうしたアクシデントによって全て帳消しだ。
山の中で、多数の犬たちを家族にしていれば、突発的な事態が必ず起こる。
しかしそれは世間には通用しない理由だ。
山界と世間を往復する生活は、毎日、綱渡りのようなものなのだ。
例えば山寺に篭り切りならば、あるいは世間に入りっ放しならば、その方がずっと楽だろう。
つくづくそう思う時もあった。切実にそう思う時があった。
だが、この山犬家族の生活は、これ自体が修行なのだ。何としてでも乗り越えていくのだ。
雪が降る場合、我々は気温が低いほうが助かる。
零下15度、20度が続けば体力の消耗も激しいが、
スコップ一本で除雪する身としては「パウダー・スノウ」でないと困るのだ。
ここでは乗用車は何の役にも立たない。
タイヤの大きな、力のある四駆車でないと話にならない。
そのような車でもスタックし、脱出できない時も多いのだ。
これからいよいよ積雪の続く季節に入る。
気温も一気に下がり、「冷凍庫の森」になるのだ。
このブログを書けない日が多くなるかも知れないが、出来うる限り発信していきたい。
家族たちから、動物たちから、大自然から学んだ事実を、発信し続けたい。
今日は、「レン(蓮)」のことを書こう。
レンは、11年前に保護した。街の愛護活動家の女性から引き取った。
生後4ヶ月くらいだったが、あまりに元気満々で、その人が困り果てていたのだ。
骨格も太いし、まだまだ大きくなりそうだった。闘犬種の子のような雰囲気を持っていた。
持っているエネルギーが力強いので、私はその子のことが心配になった。
一般家庭には不向きなキャラクターかも知れず、そうなれば運命は危うくなる。
その子の行く末が心配になり、私は引き取る決意をした。
その活動家の話によると、レンは野良子犬だった。
街の道路上で、行きかう車の脇で、轢かれて死んだ兄弟の亡骸を庇うように、
その兄弟を守るように、ずっと、そこから一歩も離れずにいたと言う。
幼きレンの姿が、まぶたに広がる。その幼き胸中が、痛いほど伝わる。
立派だったね、レン!! 守ったんだね、レン!!
悲しかったね、レン!! 苦しかったね、レン!!
たったひとりで、何日も何日も食べないで、辛かったね、レン!!
でも、大丈夫だよ、レン。
今日から、家族だよ、レン。
ずっとずっと一緒だよ、レン!!
私は家族の誓いを、彼に約束した。
それから11年が経った。
さまざまな試練に耐え、さまざまなことを学び、魂を磨いた。
レンは、菩薩犬になった。
子犬たちの面倒を見てくれた。遊び相手になってくれた。
子犬たちを守り、みんなを守り、この家を守ってくれた。
彼は烈しい気性も秘めているのだが、普段はそれを決して出さない。
彼がそれを出す時は、家族を守る時だけなのだ。
レンの背後には、いつも光がいる。
ほかのみんなにも光が現われるが、レンにはいつも独特な光がついている。
レンの母だろうか? 亡き兄弟だろうか?
もちろん、亡き母犬も兄弟も、レンをずっと見守っているだろう。
そして仏の光も、彼をずっと見守っている。私はそれを強く感じる。
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