<2007年11月20日>

「狼で生まれ、狼で死ぬ」

狼は最期まで、狼の野性を、狼の誇りを、狼の愛を失いません。

例え人間と暮らそうとも、同じです。

動物園のオリの中で暮らそうとも、同じです。

狼の真髄は、その身体の奥底に秘められているのです。

その血の中に刻まれているのです。

その長い長い歴史の全てが、刻まれているのです。

狼は人間の前でその真髄を、その本領を、見せることはありません。

彼らの途方も無い底力を、途方も無い気力を、見せる機会など無いのです。

狼は普段はとても静かです。天使のように穏やかです。

しかし、それだけではありません。

遊ぶ時には物凄いエネルギーで遊びます。

特に子供の頃の遊びは魔神のような凄まじさです。

その躍動が、頑丈な身体を造っていくのです。

頑丈な身体は、野性界で不可欠の条件なのです。

普段は静かで穏やかですが、一旦覚悟を決めると「闘神」になります。

雄の成狼の気迫の前では、いかなる人間もその場で凍ります。どんな達人も凍ります。

狼は吠えたりはしません。この世のものとは思えないほどの眼光で相手を射抜きます。

アラスカの森林レンジャーが語っていました。

「雄狼(多分ボスクラス)の気迫の前には、ヒグマも道を空ける」・・

両者の体重は5倍以上の開きがあります。

しかし彼は単なる格闘の話ではなく、狼の気力についてを語ったのです。

狼は一見スマートに見えます。

シベリアンやシェパードと似たような生き物だと思っている人も多いようです。

しかし健全に発育した雄の成狼の力は、人々の想像をはるかに超えた圧倒的な力です。

私はその力の片鱗をこの目で見てきましたが、言葉を失うほどでした。

その筋力、反射スピード、運動感覚、どれもが異次元と呼べるレベルでした。

私は多くの犬種をトレイニングしてきました。

犬たちの凄さは充分に知っています。

犬たちの凄さを知った上で、狼の話をしています。

また狼の口吻が細いと思っている人が多いようですが、

実際には、巨大な歯牙を合理の配置で納めるために、充分に太く充分に長いのです。

そして牙も門歯も裂肉歯も実に見事です。(牙はとにかく大きいです)

そしてまたアゴも頭部も首も背中も肢も、全てが強靭です。

力の発揮の際には、身体の全ての部分が相関します。

牙やアゴだけが強くても、力は発揮できないのです。

**** WOLFTEMPLE ****