<2007年11月13日>

今年は暖かいような気がします。

深夜でも0度くらいですから、いつもより暖かいです。

しかしいずれにしても、冬は間近に迫っています。

全てが凍るあの冬が来るのです。

犬たちはとっくに準備を始めています。

ガンガン食べて「冬モード」の身体を造っています。

この森の酷寒を乗り越えるには、今の時期が肝心なのです。

アンダーコート(下毛)を厚くし、毛に脂肪を含ませ、

雪と氷と寒気に耐える力強い被毛を造らねばならないのです。

そのためには「材料」が必要です。それが食事です。

肉体の代謝がどんどん高まってきているから腹も減るのですが、

犬たちは「食べることの意義」を本能で知っているのです。

世間では「低カロリー食」が流行っているそうですが、

我が家の場合にはカロリーが必要なのです。

(※夏場でも犬たちは食欲旺盛なのですが、肥満にはなりません。

「基礎代謝」が活発なのかも知れません。彼らはみんな本当に丈夫です。)

但し、みなそれぞれに被毛の個性が違いますから、それを深く把握します。

もし被毛の密度の低い子がいたとしたら、犬舎に何らかの対策をします。

密度の低い子は、零下20度の中では体力の消耗が激しいのです。

しかし、かといって過剰な防寒は決して行いません。

それは逆にその子の潜在力を奪うことになりかねないのです。

因みに犬たちが活動中の時には寒気に対する心配は要りません。

問題は停止中(寝ている時)です。

「回復」の時間であるはずが、逆に「消耗」の時間になってしまうのです。

身体が耐寒モードに入っていない犬は、どんどん痩せていきます。

しかし犬は本来的には寒気に強い動物です。寒気に対応できる動物です。

人間の身勝手なブリーディングによって、その能力が奪われてしまった犬種もいますが、

耐寒の潜在力を持った動物なのです。

逆に、暑さには極めて要注意です。人々が想像する以上に、熱暑は致命的に大敵なのです。

人間が辛いと感じる何十倍も、犬には暑さが苦しいのです。拷問のようなものなのです。

今は亡き「北極エスキモー犬」のライ(雷)とオーラン(王嵐)は、耐寒の権化のような犬でした。

零下50度のブリザードの中でも氷の上で眠らなければならない環境に生きた犬種ですから、

この森の零下20~22度程度では「心地よい」気温の様子でした。

幾千年に亘り「普通なら全ての犬が死ぬほどの極寒」の中を耐え抜いてきた訳ですから、

当然といえば当然の話です。究極の「耐寒進化」を遂げた動物なのです。

その反面、暑さは致命的でした。暑さに対応できるような、そんな半端な構造ではないのです。

エスキモー犬はあらゆる意味で独特ですが、「犬」とは呼び難い犬です。

その気配も、シベリアンとかマラミュートとはまるで異なります。

エスキモー犬のスピリットは、おそらく世間の人には理解され難いと思います。

しかしそのスピリットが、彼らの極限の歴史を支えてきたのです。


※今日はこの辺で失礼いたします。

**** WOLFTEMPLE ****