「熊!お茶!」と言い放ったのは

 この会社の所長兼営業の阿南 夕(34歳)である

 まぁ~会社と言っても所員5人の弱小企業だが、先代からの

 基盤があるので、なんとかなっている会計事務所である

 熊と呼ばれた私は、鷹賀 熊代(32歳)社長の阿南 夕の

 幼馴染で、小、中、高、大学の後輩に当たるのですが

 大学を卒業しても就職が出来なかった私を拾ってくれたのが

 阿南所長のお父さん、亡き先代でした。

 「私の名前は、熊代です!」と言い放つとお茶を、所長のデスクに置いた

 社長は、私が話しに聞く気が全く無くお茶を一口飲むと

 「祥、この前のY社の件はどうなってる?」呼ばれたのは、もう一人の

 営業で、阿南 祥(30歳)所長の弟で在る

 「兄さん、この件は白紙に戻した方がいいと思うけど・・・」

 「白紙に?何故だ?」

 「Y社の業績は、今の2代目社長である吉井 務氏が社長を継いでから

 著しく落ちている」

 「う~ん、そうなると・・・業績重視のK社は、企業合併を拒むと言う事か?」

 「そうです。」

 「もう一度、徹底的に何故 業績が落ち込んだかを調べる必要があるな・・・・

 わかった、この件はお前に任す!K社の方には俺が話しをしておくから

 先方が納得する物を持って来い」

 「分かりました、それと・・・兄さん、熊代さんに冷たすぎるんじゃないかな?

 まぁ~僕が口を挟むことじゃないけど」

 「お前は、気にしなくて良い事だ!それと、会社では所長と呼べ・・・・」

 「・・・・・・・」と言って、祥は席に戻った。