適切な車輪形状は、整備された線路では脱線を起こさない

現在の車輪は半径150mを時速160kmで走っても脱線しない

振り子式と組み合わせれば、列車で表題の通りの性能が発揮されるそうです。

 

現在のJR各社の採用している(実際には特殊な路面電車を除いてすべての民鉄も)車輪は、踏面は円弧形状(R500)でフランジ角60度の国際規格をクリアーするものです。

 

踏面に付けられたテーパーにより、カーブ通過時の左右の車輪の回転差は吸収されます。

車体に掛かる遠心力に対しては車体を傾斜させることで重心の移動を防ぐ

振り子式車体は車体を傾けることで、重心を常に左右の車輪の中心部へ落とします。すると、車輪の左右の回転差から生じるずれにより、遠心力による外側への向きは重心を中心とした回転に変わります。この自転運動によって、カーブを曲がります。

 

振り子式でない車体の場合には、線路にカントをつけて車体を傾け、同じ効果が生まれるようにしています。

 

 

これらの工夫により電車はある程度急なカーブでも高速で曲がることができるようになっています。

脱線は脱線が起きる状態であっても直ちには起きない

脱線には、脱線係数という値があり、0.8以下がその安全値とされますが、国鉄時代の脱線実験の結果から、ある程度の時間その状態が続かなければ脱線が起きないことが分かっています。

 

現在のJR各社や多くの私鉄は、0.85などより大きな係数値を設定しています。

 

脱線によるのりあげが生じたとすれば、レールにはフランジによる大きな傷が残ります。そのような事故は1988年以降ありません。

フランジ角による歯止め

フランジ角度60度の設定は、非常に強力で、レールへ車輪がのりあげようとするのを阻止します。

 

 

仮に上記のような状態となっても、フランジは台車と車体を支え続けます。短時間であれば、速度が限度内まで減速されれば、左右ともレール上へ戻り安定します。

 

ただ、遠心力には注意しなくてはいけません。カント角が合っていないと、半径300mのカーブの場合、途中での停車を考えて半径400mでの浅いカント角しかないような場合、300mでの許容速度であっても倍近い遠心力が発生します。

 

このような場合でも車輪はフランジによりレールに密着しますから、車体はそのレールと接している点で支えられるため、車体の傾きはより大きくなりますが、脱線は起きません。

 

ただし、限界はあると思われます。それは、車輪の傾きが大きくなり過ぎた場合で、レールと車輪が2点接地をした瞬間です。

 

 

フランジと車輪の踏面のどこかがレール面と2点で接した場合、一つの車輪自体に回転差が生じてしまうため、その力により車輪自体がねじれて強い回転を起こし、台車から弾き飛んでいくことになります。

 

車輪をなくした場合には、車体は宙に浮いた状態となりますから、フランジによる操舵力は失われ、遠心力だけが車体に働く状態となります。

 

線路外へ車体が向かったとしても、脱線は生じていませんので、レール(線路)からの逸脱になります。

 

各JR、私鉄は、不意の災害や高速化による逸脱防止のための対策を立てており、安心して鉄道の利用ができるように努めています。

 

実物の鉄道では、線路上に障害がある場合や線路が適切に整備されていない場合を除いては、ほぼ脱線しないようになっています。