人格障害について Ⅴ | Houling of wolf

人格障害について Ⅴ

自己愛性人格障害

英語ではNarcissistic Personality Disorderです。そう、つまりナルシストのことです。
その原因は母親の過保護と父親の不在です。
そのおかげでいつも自分は特別なものだと感じています。
そのため、誰かに自分のことを非難されるのをとても耐えることができません。
自分は特別な人間だと感じ、様々な対人関係の障害がでてくるのが特徴です。
まわりの人間は自分を敬うのが当然と感じ、他人への思いやりに欠けます。
究極の自己中心的な人間、裸の王様がこの自己愛性人格障害です。
この自己愛性人格障害には、大きく二つのタイプが存在すると言われています。

ひとつは無自覚タイプです。これは日本に多いタイプで、まさに自己中心の塊です。
多くは、母親の過保護によって生じます。愛情を注がれ過ぎたために起きます。
「特別な子供」扱いすることで、「私は特別な人間なんだ」と思い込んでるのです。
厚顔無恥、誇大、顕示欲の強さなどがこのタイプの特徴です。

もう一つはこれと全く逆で、過剰警戒タイプです。小さな頃から親の愛情を受けなかったため、褒められずに育ったために、
「自分は本当はもっとすごいんだ」と空想して、傷付いた自尊心を取り戻そうとするタイプです。
傷付きやすさや、過敏性が強く密かな自己愛を持っているのが特徴です。
このタイプはアメリカで多いとされています。
共通しているのは「自分は特別だ」と思っていることです。
また、「独特で」「完璧な」「才能がある」と自分を表現し、「普通の人には理解できない」と感じているようです。

この二つのタイプをまとめますと以下のようになります。


無自覚タイプ        過剰警戒タイプ
他人の反応に無頓着     他人に傷つけられる感情を受け付けない 他人の反応にひどく敏感
傲慢で攻撃的        押さえ気味、恥ずかしがり屋、目立つのを避ける
自己陶酔の塊        注目の的になることを避ける
注目の的であろうとする   他人の話に軽蔑や批判の証拠を探る
他人に傷つけられる感情を  簡単に傷つけられやすい                     
受け付けない

では、実際の症例をみてみることにしてみましょう。


(症例)
25歳の男性。一人っ子である。
両親が高齢のときにできた子なので、幼い頃から特にかわいがられて育ち、特に不自由することなかった。
一流大学を卒業し、会社に就職するも対人関係がうまくいかなくなってきた。
「自分にはすごい能力がある」と信じまわりにそれを強要したりしたために、さらにまわりから疎まれる存在となっていった。
今の会社に評価されていないのは、自分のせいでなく、自分の能力があまりにも優れているためにまわりの人間には
わからないと思い込んでいる。


もう少し具体的に症状をみていきましょう。


あからさまな傲慢さ  尊大で横柄な、また大げさで相手に軽蔑的な態度をとります。
社会生活での慣習や規則をバカにし、自分には愚かで的はずれな規則だとあざ笑います。
自分の高潔さを他人が見のがすことには怒り出しますが、他人のそういうことに対しては全くの無関心です。
対人関係での搾取  当然の権利だと考えています。常に相手に対して自分を特別扱いするよう求めます。
はずかしげもなく、自分が目立つためや願いを叶えるために他人を利用するのは当然のことと考えています。
誇大性  えっ?と思うようなの空想をしたり、成功や美、愛に関する未熟で自己満足的な想像に浸りがちです。
客観的事実はどうでもよく、事実を勝手に曲げ、自分に対する錯覚を必要とあらばうそをつくこともかまわない。
自己像の賞賛  自分は価値があり、特別で(ユニークでなくても)大いなる称賛を受けるに
値する人間だと信じていて、誇大的で自信に満ちた行動をとります。
しかし、それに見合うような成果を収めることは少ないです。
他人にはわがままで、軽率で、おおちゃくな人間だとみられているにもかかわらず、自分の価値を信じています。
他人へのわざとらしさ  過去の対人関係はいいように記憶が変えられています。
受け入れることができない過去の出来事や苦しみは簡単に作り直されます。
合理化のメカニズム  自己中心的で周囲に対して思いやりに欠けた行動を正当化するために、
もっともらしい理由を付けようとする。それらは欺瞞的で浅はかなものです。
偽り  みえみえのうそをつきます。失敗をしてもすぐに埋め合わされ、プライドはすぐに復活します。
無頓着  いっけん冷徹で無感動な自分を演じます。
逆に、軽快で楽天的であるが、自己愛的な自信が揺さぶられるといかりや恥の感情や空虚感が表に出てきます。
まとめますと、自己愛性人格障害は対人関係での誇大(誇張)した自分が表に出てくることが主な症状です。
しかし、一方では羞恥心が非常に強く傷付きやすい一面を持っていたり、劣等感や怒りに満ちた一面も持っています。
これらが対人関係をうまくさせないことの原因となっています。
以下に診断基準をあげておきます。
以下のうち5つ以上あてはまると、自己愛性人格障害が疑われます。


・自分は特別重要な人間だと思っている。
・限りない成功、権力、才能、美しさにとらわれていて何でもできる気になっている。
・自分が特別であり、独特であり、一部の地位の高い人たちにしか理解されないものだと信じている。
・過剰な賞賛を要求する。
・特権意識を持っている。自分は当然優遇されるものだと信じている。
・自分の目的を達成するために相手を不当に利用する。
・他人の気持ちや欲求を理解しようとせず、気づこうともしない。
・他人に嫉妬をする。逆に他人が自分をねたんでいると思い込んでいる。
・尊大で傲慢な態度、行動をとる。

回避性人格障害

さて、これからはクラスターC群の人格障害についてみていきましょう。
この人格の特徴は不安や恐怖感が強い人格群です。
その中でも、最も不安が強いのがこの「回避性人格障害」です。

「ひきこもり」という言葉がこの人格障害を端的に表すのでしょうか。
他人からの拒絶、批判を恐れ、恥をかくことに非常に敏感です。
そうした危険があれば、他人と関わろうとすることをやめます。
失敗を恐れるあまり、新しいものにチャレンジすることもなく、仕事は責任の軽いものばかり選びます。
要するに「自分が人に受け入れられるかどうか」に対して非常に過敏になっています。
不登校や出社拒否などの人の約半分にはこの「回避性人格障害」がいると言われています。

この人格は日本人の性格、文化に類似する傾向があります。
つまり、他者中心的で、他人の感情を損なわない、自己を主張しない控えめな文化です。
そのため、日本人にとっては彼らは違和感がなく存在することができてきました。
一方、自己主張の強い国アメリカではさぞ、異常にうつっていたことは想像しやすいですね。
それだけではなく、自己主張をしないということは、能力に欠けていると見なされ、
社会的な評価が低いとされているために、問題となっているのです。

ただし、日本で最近問題となりつつある「回避性人格障害」はちょっと様相が違います。
日本の少子化、父親不在、母子結合、過保護などの結果に大きくなった子供。
当然、自分で判断することの能力も乏しければ、非常に傷付きやすいものです。
自分を傷つけない、暖かい(?)場所にしか行こうとしません。
そういった社会的な引きこもり、対人関係の弱さがこの人格障害で、最近問題となっていることです。

もう少し詳しくみていくことにしましょう。
先程も述べましたように、この人格の中核をなす特徴は、
「自分自身の失敗や周囲からの拒絶、否定的評価を避けようとすること」です。
しかし、その根底にあるものは「低い自尊心と低い自己評価」です。
つまり、他人には受け入れてもらいたい気持はあるが、自分には他人に何かをしてもらえるだけの価値がない、
と感じているため、その欲求を他人に伝えることができません。
拒否されることに対して、極度に敏感で傷付きやすく、嫌われたりバカにされたりするのを恐れ、
対人場面や社会生活を避けるようになります。
その結果、社会生活から引きこもり、責任の軽い仕事ばかりを選ぶと言うことになっていきます。

では具体的な症例をみてみることにしましょう。


症例)
28歳、男性。
小学校時代から成績も優秀でスポーツも万能であり、クラスの人気者であった。
ただ、両親から褒められたことはなかった。
あることをきっかけにまわりのみんなから批判されたように感じ、周囲になじめなくなった。
中学生の頃、ある失言をきっかけに女子生徒に嫌われはじめる。
この頃より、にらむような目つきになり、周囲の反応も変になった。
大学に進学するも、友達もできなかった。
その理由は、みんなが自分を嫌っているような気がして、おびえてしまうかららしい。
まわりになじめず、次第に学校からも遠ざかり、中退となった。
その後色々なアルバイトをやるが、はじめのうちは緊張感があり続けられていた。
そのうちなれてくると惰性的にすごすようになり、突然やめることを繰り返した。
仕事から遠ざかると、引きこもりがちな生活になるという。


回避性人格障害と一言でいってもその症状は様々です。
社会的引きこもりをする一方で、他人に受け入れられたい気持や接触を求めます。
引きこもりの他には、不安、抑うつ、対人恐怖などがあります。
また、暴力行為や衝動的な活動、奇妙な声で叫ぶなどの行動も認められます。

一般に若ければ若いほど治りやすいようです。
また、親、とくに母親の過保護が原因となることが多く、母子間の結びつきを弱める必要があります。
つまり、親は子離れをさっさとしてしまい、子供は親の元から独立することです。

それでは診断基準をあげておきます。

以下の7つのうち4つ以上があてはまると回避性人格障害が疑われます。


・他人からの批判、拒否、拒絶をあまりにも恐れるために、
仕事上大切な人と会わなければならないような状況を避ける。
・好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたいと思わない。
・恥をかかされること、バカにされることを恐れるために、親密な間柄でも遠慮がちである。
・社会的状況の中では、批判されはしないだろうか、拒絶されはしないだろうかとこころを奪われる。
・自分が人とうまくつきあえないと感じるため、新しい人間関係を築けない。
・自分は社会的に不適切な人間で、長所がなく、人より劣っていると思っている。
・恥ずかしいことになるかも知れないと言う理由で、
何かにチャレンジしたり、新しいことをはじめたりすることに異常なほど消極的である。

依存性人格障害

いわゆる「甘えの強い性格」です。
甘えが強く、大切なことも自分で決められず他人の判断に任せます。
並はずれて従順で、非常に受け身的、世話をやいてくれる人がいなければ何もできません。
いつもまわりから元気づけや励ましが必要です。
独立を避けるために、自分自身の欲求でさえも、他人の欲求に合わせます。
自分の責任を他人に押しつけるので、いざ1人になると非常に不安や抑うつにかられる人格障害です。

境界性人格障害と似ている点もありますが、
依存性人格障害のメインは「自分にかまって欲しい過剰な欲求と、それを維持するための服従的な行動」です。
比較的女性に多く、末っ子に多く見られます。

依存性人格障害が発生する過程には、親の子供への接し方があげられます。
この点は、回避性人格障害と似ています。
まず、過度に干渉的な母親、父親が存在します。
そして「世の中は危険がいっぱい」ということを子供に刷り込んでいくのです。
子供が少しでも自立しようとすると、親は子供を非難し、
忠実だとひどく溺愛します。
自立とは、親や社会から見放されるもんだよと刷り込んでいくのです。

それでは具体的に症例を見てみましょう。


症例)
28歳女性。
会社で異動に伴い責任のある立場になったことで不安が増強したために来院。
4人兄弟の末っ子で高校に進学してからは、成績の競争をためらうようになった。
同性の友達関係に堅苦しさを感じるようになり、まわりからは非難されていると感じていた。
大学に進学するも、まったく目立たず、取り立て人とさわいだりすることもなかった。
自分から何かをしようということはなく、夫の欲求を優先的に満たすような行動をしていた。
人に頼っていないと何もできない。安心できないと言う。


もう少し症状についてまとめてみましょう。

依存人格者は、どの様な関係でも責任ある地位を避け、受け身になることを選びます。
責任ある立場に強いられると不安になるばかりではなく、
自分の無力さを訴え、サポートが必要なんだと訴えます。

少しでも1人に取り残されると見捨てられたとおびえます。
自分自身のために仕事を頑張ってやるよりも、
誰かのためになら同じ仕事でもうまくいきやすいです。
それは、食事の準備であったり、子供の世話であったりします。
これらの行動は、依存する相手に「貸し」をつくり、
いつまでもそばにいたいための行動でもあります。
例え、相手が浮気ばっかりしたり暴力を振るったりしても、
依存する対象を失うのが怖いため、しがみついても離れません。

その他には、自分の訴えをいかにもドラマチックに大げさにいう傾向があります。
それは注目して欲しいという気持ちの表れ、見捨てないでという気持ちの表れなのです。
もし、相手にされなければ、怒りを爆発させたりと行ったような短絡的な行動にでます。
依存性人格障害のかたが病院にかかるのは、
病院にかかることで、まわりから注目されたり、心配されたり
世話を受けることで愛着をつなぎとめようとするのです。

依存性人格障害を理解するために他の人格障害との違いをみてみましょう。

依存性人格障害と境界性人格障害とではどうでしょうか?
見捨てられるという恐怖と大切な相手にしがみつくという点で共通しています。
相手が自分から遠ざかっていくことに対しては、
境界性では衝動的、自己破壊的な反応をします。
一方、依存性では声を上げてなくなど、うちにうちにいきます。

演技性人格障害との違いは、依存の仕方が異なります。
演技性のほうは、あくまでも操作的に依存するのに対して、
依存性では、愛着している対象と長い間関係を保ちます。

回避性人格障害との区別は難しいです。
依存性人格障害のほうが見捨てられること、嫌われることに対する恐怖が大きく、
回避性人格障害のほうが新しいことにチャレンジしたり引っ込み思案だったりします。


最後に依存性人格障害の診断基準をあげておきます。
次の8つのうち5つ以上あてはまると依存性人格障害が疑われます。


・普段のことを決めるにも、他人からの執拗なまでのアドバイスがないとダメである。
・自分の生活でほとんどの領域で他人に責任をとってもらわないといけない。
・嫌われたり避けられたりするのが怖いため、他人の意見に反対することができない。
・自分自身から何かを計画したりやったりすることができない。
・他人からの愛情をえるために嫌なことまで自分から進んでやる。
・自分自身では何もできないと思っているため、ちょっとでも1人になると不安になる。
・親密な関係が途切れたとき、自分をかまってくれる相手を必死に捜す。
・自分が世話をされず、見捨てられるのではないかと言う恐怖に異常におびえている。

 こtrも該当無し よかった・・・

強迫性人格障害

この人格の基本的な特徴は、
「秩序、ルール、完全主義などにとらわれすぎて、柔軟性や効率性がない」ことです。
神経症のところで強迫性障害と言うことが出てきましたが、
この二つはどちらかというと、ほとんど関係がありません。
強迫性障害は「分かっちゃいるけど、やめられない」でしたね。
強迫性人格障害はどちらかというとA型人間であり、うつ病との関連が示唆されています。

強迫性格の特徴は几帳面、倹約家、わがままでした。
具体的にあげていきますと、人に仕事を任せられなかったりするのです。
その他、「硬さと頑固さ」という特徴もあります。
これは、ひとつだけの「正しいやり方」や「物事の原則」を主張し、
他人の視点や考えに妥協することを拒むのです。

もしも、そういったように自分の思ったようにいかなかったり、
完全にできなかったりしたら、抑うつ状態に陥りやすいのです。
そして、頑固で柔軟性に欠けているので、ひとつのことにこだわってしまうのです。

では、実際の症例をみてみましょう。


症例)
55歳男性、公務員。
仕事でも家庭でも自分の思い通りにならないとよく口論になり、ときには暴力沙汰になることもあった。
ふだんから生活のスケジュールが分単位で決められたような細かい生活をしている。
家族にはお箸の持ち方から、食べる順番、お風呂に入る順番など事細かに決め、
それに従わないときは、烈火のごとくはらを立てる。
娘が予定した帰宅時間を過ぎようものなら、それは一大事であり、大騒ぎになる。
家計の管理が自分で行っており、1円でも帳尻が合わないとそれはそれは大変なことになる。
あまりにも几帳面すぎて耐えられないため、奥さんが相談にやってきた。


以上のような症例が強迫性人格障害の典型例です。
それでは、診断基準をみてみましょう。
次の8つのうち4つ以上あてはまると強迫性人格障害を疑います。

・何がなんだか分からないくらいに小さなこと、規則、構成、予定表などにこだわる。
・必要以上に完璧主義にこだわりすぎて、達成できないことがある。
・娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事にのめり込む。
・ひとつの道徳、倫理、価値観にとらわれすぎて、融通が利かない。
・とくに思い出があるわけでもないのに使い古したモノや価値のないものを捨てることができない。
・他人が自分のやり方に従わない限り、仕事を任せることができない。
・自分のためにも他人のためにもお金に対してケチである。
・お金は将来の何時かに備えて蓄えておかなければならない。
・頑固である。

 これは 下2つが当てはまった