炭置くはたとへ習ひにそむくとも 湯のよくたぎる炭は炭なり


諸道具がいかに完備していても、釜がなくては茶の湯はできない。

釜があっても、炭のつぎ方が悪いと、

火がおこらないし、したがって湯もたぎらない。

茶道には、茶を点てる作法以外に、

炭のつぎようを教える炭手前がある。

炉の場合、風炉の場合、初炭、後炭などがあり、

特別なものに、炭所望、廻り炭などがある。

炭のつぎ方は、そのような習い事によって定められているのだが、

炭手前の目的は、炉中なり風炉中に、

美しく形よく炭をつぐことだけでなく、火相が悪く、

湯がたぎらなければ、それはよい炭のつぎ方とはいえない。

少々形が悪くても、よく湯のたぎるように炭をつぐのが、炭手前である。

悪い炭のつぎ方には、撞木、十文字、縁切りなどがあるが、

そればかりが悪いのではなく、

湯のたぎらないつぎ方が、一番悪いということになる。



炉とは、畳の一部を切って床下に備え付けた茶用の小さな囲炉裏のことであ

る。

11月から5月初めまで、湯を沸かすために用いられる。

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風炉(ふろ)とは火を入れて釜を掛ける器物のことで、

これは5月から10月まで用いられる。

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風炉なり炉に炭を組んで火をおこし、湯を沸かす時、炭点前がある。

炭点前はお稽古の時はほとんどやらない。

お茶会を催すとき、必ず最初に炭点前が要るので練習する。

で、あんまり身についていない。

順番はおぼえるが、どうすればよく火がおこるかなどは

その時の炭の具合もあるだろう、なかなか体得できない。

火をおこすのは難しいというのは、まきで風呂焚きした人はよくわかると思

う。

火鉢を利用したことのある方も合点、合点ではなかろうか。

ある時、お茶会に出かけた時そこでも炭点前から始まったが

そのうちお釜のお湯がシュンシュン勢いよく煮えたぎってきたのをみたことがある。

勢いがいいなあ、と心に思ったが煮えたぎってる様子が

あんまり上品にも見えなかったのでそれだけだったが

あとで考えてみると炭点前をした人はとても上手だったのである。

熱いお湯で点てたお茶はとてもおいしい。

おいしいお茶をどうぞ、究極はここだろう。

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これは炭点前のときの炭、どの炭にも名前がある。