日本で美少女プラモデルというジャンルのキットを販売しているメーカーは多々ある。有名なところでは壽屋、バンダイ、マックスファクトリー、ボークス、アルファマックスなどである。
 わたしが購入しているのはバンダイと壽屋だ。バンダイはその生産能力の高さで標準小売価格ならそれなりに安いのだが、それゆえにテンバイヤーから狙われることもあってアマゾンあたりで定価入手は難しくなっている。
 壽屋は固定フィギュアも販売し歴史が長いこともあって品質が安定している。新製品の予約などがあるとサーバーがパンクしてしまうが、アマゾンで予約購入すると定価以下で手に入るし、壽屋のオンラインストアと違って送料もかからない。
 どちらのメーカーも基本的な構造や間接の仕組みがある程度判ってきているので、説明書が無く手もそれなりに組み上がる。
 美少女プラモデルは人型の素体に武装を装着する形式になっているものが多く、素体を構成する部品は100程度だ。大きさはまちまちで主に12文の1サイズと10文の1サイズが多く見られるようである。以前にも書いたがどこかで6文の1サイズの美少女プラモデルを作ってもらえないだろうか。
 可動域では壽屋の方がバンダイより広いように見える。ただ素体のポージングはできても、そこに武装や衣服を装着するとそれらによって可動域が狭くなるのは致し方ないところか。
 たまに武装の部品がやたら多い場合があって、それらを組み立てるときに素タイトの切り分けが難しい。そして大抵の武装はどう組み立てて良いか判らない。
 その点、創彩少女庭園シリーズは武装パーツが無いので部品数は素体のみに限られる。おまけ部品もそこまで多くないのでとても組みやすい。
 バンダイのHGBF擬人化MSシリーズも武装部分はあまり無いし、壽屋に比べるとスケールが大きいのでわたしにとっては組みやすいのだが、腕の付け根や足首の構造が不安定なところがあり、自立が難しいのでスタンドが必須になる。また稼働させるとパーツが外れることもあり、特に首の座りが悪く、展示しているといつのまにか首だけ転がっていることもあった。
 他のメーカーもYouTube動画を聞いていると、なかなかに魅力的なものもあるが、総じて美少女プラモデルは販売価格が高価である。バンダイでも2000円から4000円、その他のメーカーでは5000円から1万5000円までになる。
 それでも美少女プラモデルの憂い気を気にしているメーカーもあるようで、このたびKADOKAWAが美少女プラモデル市場に乗り込んできた。

 KADOKAWA plasticmodelというレーベルで販売を開始したが、第一弾は「この素晴らしい世界に祝福を」から爆裂の魔術師めぐみんがキット化され、来年の1月には「とある魔術の超電磁法(レールガン)」から御坂美琴が販売される。
 つまり、自分が版権元になっているものから、その登場人物をキット化して販売するわけである。
 一応バンダイのHGBFでは版権元はガンダムシリーズなので同じことであるのだが、バンダイはもともとプラモデルを製作販売していたが、KADOKAWAでは新規に事業を興すことになるわけだ。
 先日汲み上げたブラックマジシャンガールは版権元が集英社で、そこと協力しているためにクロスフレームガールというシリーズでの販売になっている。
 一応プラモデルのキットを企画・生産するにはそれなりの技術が必要であり、いずこかのメーカーを吸収したか、発注依頼をかけているのかもしれない。
 通常のインジェクションキットを作るためには金型が必須である。最近の金型はCADで自動化して作られているとはいえ、部品をどう分解して組みあわせるかについてはノウハウが必須である。
 そもそも今のKADOKAWAは例のクラッキング騒ぎで大変だと思うが、継続してKADOKAWAの版権モデルが販売されるのだろうか。また、売れたとしても量産体制はとれるのだろうか。

 もしプラモデルキットを作る全てがパッケージ化されており、あとはCADデータだけで新しいキットが作り出せるとすると、出版社はその工作工程を買い取るもしくはリースすることで、自前のコンテンツをキット化できるわけだ。
 集英社であればドラゴンボール、北斗の拳、ワンピースや鬼滅の刃などの人気コンテンツの登場人物をキット化できる。小学館であれば高橋留美子さんの作品キャラクタや名探偵コナンあたりのキットも出せるようになるだろう。
 うる星やつらのラムあたりはいくつものフィギュアがいろいろなメーカーから販売されているが、自車のコンテンツからキット販売できるようになればそこまで高価で無いものが出るかもしれない。
 と、思ったのだが、KADOKAWAブランドの美少女プラモデルであるが、通常衣装と水着衣装のボディが二つ入ったDXバージョンの小売価格は1万円弱。アマゾンの予約価格でも8000円強となっており、少々お高めである。
 むしろ今まで他社に許していた版権物を自車でのみ販売として、それなりに暴利な価格展開をすることも考えられる。
 ただ、問題があるわけで、ガンプラが売れているからと言って美少女プラモデルがそこまで売れるのだろうかと言う事だ。
 コロナの引きこもり需要によってプラモデルは売れた。壽屋の株価もなかなかすごいことになるほどで、それなりの数が出ていると思うが、それでもかなりニッチな産業であることは確かだ。
 今回のKADOKAWAがどれほど売れるかによると思うが、それには壽屋なみに多種類を販売しなければならないだろう。
 わたしとしては品質さえ良くて、組みやすければ購入するが価格は抑えめにして頂けると幸いです。

 次回は、こどもと夏休みについて考えたい。