何やら日本テレビとフジテレビが、大谷翔平さんの逆鱗に触れて取材パスを取り上げられたあげく、過去に渡って映像を一切使用するなと言われているようである。
 あれだけマスコミに対して神対応と言われ、アメリカではすっかりと聖人扱いされている大谷さんを怒らせるとは一体何をやらかしたのかといえば、大谷さんがアメリカで購入したと思われる新居を、日本の芸能人の新居のように報道したそうである。
 まずは建物正面から撮影、そしてドローンを使って上空から建物の間取りを報告、そして近隣の人々にインタビュー。
 日本国内の芸能人に対してであればよくある報道の仕方だが、あちらはアメリカであり事情がかなり異なる。治安の度合いが全く異なるのである。
 アメリカでは以前から、セレブの邸宅に不審者が入り込む事件が増えている。セレブというからには高価な物品を持って居ることはあきらか。路上に自動販売機を置いたら品物と金銭が詰め込まれた箱と思われて中身がごっそりと盗まれるお国柄である。邸宅に窃盗に入るのはほぼ当たり前である。
 それに泥棒ならまだ良いが、主人が留守中の家族を狙われることがある。人身誘拐もそれなりに起こっているし、その犯罪が成功したり、人質が不幸なことにあう確立は日本とは比べものにならない。なのでセレブの居住地は伏せられている。
 それなのに住所を特定出来そうな映像に、忍び込むための間取り情報を追加、おまけに近隣住人に「近々セレブがあなたの近くにやってきますよ」と言いふらす始末。
 これ、新居を新たに契約し直すしか無いのではないか。
 日本テレビもフジテレビも「海外報道と同じように行った」と言っているが後の祭りである。ただでさえ問題が立て続けに起きているテレビ局が、今後大谷さんの報道を行えないとしたら、視聴率にかなり響くのでは無いか。
 出禁を解除してもらうには、謝罪表明だけで無くアメリカでの住居の提供などかなりのフォローが必要と思われる。それで少しは反省すればよいが、たぶんおなじ事は繰り返されるだろう。
 ちなみにドジャーズの広報が正式に日本テレビとフジテレビの取材パスを凍結したことを発表したが、ここでセレブの住まいを報道することの危険性を説明するとき。
「日本のテレビ局の取り締まり役の邸宅を詳細に報道されるようなものである」
 と言ったのだが、恐らく日本では日本テレビの社長の邸宅を詳細に報道してもさほど危険度は上がらない。あちらの広報担当も日本の治安を想像出来なかったのかもしれない。

 マスコミ報道が犯罪者の手助けになることは大いに考えられる。
 2000年の5月に起きた西鉄バスジャック事件は、人質が一人死亡するというバスジャック事件では初めてのことである。
 一時期バスジャックやハイジャックが連続したことがあったが、乗物は移動できても密閉空間であり、その周りを取り囲めば犯人が無事逃走するのは不可能に近い。日本でのハイジャック成功例は日航機をハイジャックして朝鮮民主主義共和国に逃亡した1970年のよど号ハイジャック事件くらいのものではないのか。
 西鉄のバスジャックも福岡から広島へと逃亡を続けたが、最終的にSATの導入にて犯人を確保したが、この時報道としてはバスの周りを常時テレビで中継していた。これ自体は普通に思えるが、SATの突入タイミングまで報道していた。
 ジャックされたバスは観光バスであり、仲にはテレビ放送が受信できる設備もある。もし犯人がテレビを見ていれば、この突入タイミングを詳細に知ることができたはずだ。逃げられないと判った犯人は、最後に何をしでかすか判らない。すでに犠牲者はでているのである。
 ここら辺は警察関係者もマスコミに対して規制をかけるべきだった。
 乗物ジャック事件の他に、過去に日本でも有利誘拐が連続したことがあった。当初はマスコミも事件発生を聞きつけると、我先にと報道していたが、事件が表沙汰になって逆上した犯人が人質に危害を加えることがあってから、報道規制がかかるようになった。
 まさかここで「報道の自由」と言い出さなかったのはそれなりに評価できるが、自分たちが報道することによってどのような状況に至るかを、もう少し想像出来ればよいのにと思うばかりである。

 振り返って日本テレビだが、今年も行う24時間TVの仲で、大谷さんの特集報道を行う予定だったそうだ。
 ところが過去の映像は使えず、アメリカでの取材も行えない。当然その報道は頓挫するしか無いが、どうせアメリカでは取材できないのだからと、日本におられる大谷さんのご家族や学友に、迷惑千万な取材を行わないようにお願いしたい。
 そのうち「MASS-GOMI」という単語が、アメリカでも通じるのでは無いかと思うのである。

 次回は、いよいよ3年目に突入したこのブログの話をしたい。