わたしはスポーツ全般が苦手だったし、通常生活に必要以上の運動神経は持ち合わせて居ないと実感している。なので目が見えていた頃から体育が大っ嫌いだった。
 特に球技を始めとする集団競技が嫌いである。大抵の場合は皆の足を引っ張ることになるし、それを期待してかチーム分けの場合などは運動音痴の集団に入れられる。
 ただそちらの方が責任の所在が曖昧になるために良いが、学生の頃にスポーツが楽しいと思ったことは一度も無い。これは教育課程の体育の進め方に問題があるのではないかと思う。
 わたしがこどもの頃、つまり昭和で言えば40年から50年代に流行っていたものといえば、個人競技であれば相撲、集団競技であれば野球である。その他のスポーツもあるが、こどもが自ら選択出来るのはこれらくらいのものだ。
 相撲は何より体格が大きく影響する。ときどき巨体の肥満児が住もうに強いと言われるが、現役の力士は死亡では無く筋肉のかたまりである。そして身体は柔軟で瞬発力もあるため、ただ単に太ったこどもは、こども時代に勝つことができても力士としては大成しない。
 あと相撲を日本の国技と思っている方もいらっしゃるが、公式に日本の国技は制定されていない。両国の国技館はそれを建設するときに「相撲なら日本の国技みたいなものだから、そう名付けてしまえ」と付けられたものなので、あれを根拠にしてはいけない。
 野球は当時、日本の国民的なスポーツだった。プロ野球は毎日のようにテレビとラジオで中継され、春と夏の甲子園も本大会はすべて中継される。スポーツ新聞でも一面は野球の話題が締め、マンガやアニメでも野球を題材にしたものはとても多い。
 野球のルールはほとんどの方がご存じと思うが、1チームは最低でも9名が必要であり、それぞれに特定のポジションが割り当てられている。特定のターン制をとっていて、それが9回繰り返される内で得た得点が多い方が勝つ。
 こう書くとわりに単純だが、これは日本人が野球に接する機会が多いからだ。他のスポーツに比べるとルールがわりに複雑で判りにくいところがある。
 これは観客側にも言われることで、オリンピックに野球が導入されたとき、感染した人々も応援するチームが優勢なのか不利なのかが判りづらく、逆の応援をしてしまうことも多かったようだ。何より何もしていない動きの少ない時間が多くて飽きてしまうのだそうだ。
 サッカーやバスケットボールのような時間制や、バレーボールやテニスのように勝敗カウントが決まっていれば勝負の決着タイミングが判りやすい。野球もターン制で9回と決められているが、1ターンの時間制限は基本的に無いために、し合いが拮抗すると時間がやたら長くなる傾向がある。
 それでも今までは野球を志すこどもがそれなりに居たために、野球人口は保たれていた。それが崩れつつあるようである。
「子供に野球をやらせたくない」親のホンネ。少年野球にはびこる“オレ流指導”の問題点とは
 こどもの頃の野球というと、同級生とか近所の友人で適当に行うものと、リトルリーグなどのチームに入って本格的に行うものがある。
 そのリトルリーグなどにおける過度な練習や、親の負担が嫌がられて野球を見るのは良いが、参加しようとは思わなくなっているようだ。
 本格的な続きとしてはリトルリーグ→中学野球(軟式)→高校野球(硬式)→大学野球・社会人・プロリーグとなるわけだが、低年齢のうちから根性論が支配する環境で育っては、練習量だけが多くて技術がたいして身につかなくなるのだろう。
 確かにリトルリーグの監督とかコーチは専門家と言うより、近所で野球がうまいと評判の者がなっていたりする。それは中学や高校でもあまり変わりなく、全国大会に出たことがあるとかの経験で選ばれているが、学校の全てを野球漬けにしてしまう弊害もあるようだ。
 そりゃ昭和の時代ならそれで良かったかもしれないが、すでに時代は平成を越えて令和である。
 きちんとした経験者が技術的な指導を行おうとすると、リトルリーグの関係者が生徒に圧力をかけるというのも何ともなことだ。どんな事でもきちんとした形があるわけで、基礎的なところからきちんと倣うのは良いことだと思うのだけど、脳筋連中にはそれが判らないのかもしれない。
 日本における野球人気はWBCもあってそれなりに継続されているが、地上波でのプロ野球中継はほとんど無いし、テレビで野球を見るとしたら甲子園くらいのものだろう。
 あれだって気象庁から熱中症警報が出ていて、屋外での運動は避けましょうと言われている仲での甲子園である。せめて東京ドームで行えば良いのにと思うのだが、炎天下も根性で乗り切れというのだろうか。
 あと、こどもが野球よりサッカーなどを選ぶのは、頭髪を坊主にしなくてよいからだという話もある。何故か甲子園に出てくる高校球児は見事に仮そろえられた坊主頭だ。これはヘルメットや帽子を被るので、髪を伸ばすと鬱陶しいからと言うのもあるらしいが、こどもの自由を奪っているようにも見えるのだろう。
  ただ最近はプロ野球からアメリカのメジャーリーグに移籍して有名になるという路線もある。ここら辺では大谷翔平さんは日本のこどもに野球を行うための夢を与えていると思う。
 あとはきちんとした技術と基礎的な運動を教えられる指導者がいれば良いのだが。
 わたしは自ら運動しようと思わないし、スポーツ全般に興味が無い。興味が無い以上あまり注文も言えないが、スポーツを行う事で身体や心を壊すこどもが出なければ良いと思うだけである。

 次回は、透析クリニックの看護士さん事情を話したい。