わたしの身体はポンコツである。通常であれば一つあれば機能を果たせる二個一組の体内機関を、二組ともダメにしてかなり不自由な生活を送っている。
 とりあえず最重要機関である脳はわりに普通の働きをしているが、次に重要な器官である心臓は、その能力値が通常の三割以下となっている。
 この能力値は心臓エコー検査で判定するが、検査官はその数値に驚き、時には自分の検査方法に誤りがあるのでは無いかと思わせるようである。
 特に初見の病院施設での検査の場合、検査直後に職員の方々のひそひそ声が聞こえてくる。
「これ、もう一度検査します? もしそれでも同じならここの病院では……」
「ともかく主治医の先生に報告を……」
「あの、その数値、間違っていませんしわたしにとっては通常状態です」
 何とも迷惑な心臓であるが、それでもきちんと動いて居る。動いてなければこんなブログも書けないわけだ。
 ところで、一生の間に打てる心拍数の数は、どの生物においても同じでアルト言う説をご存じだろうか。
 心拍数は一分間に何回心臓が動くかの数値だが、その総数が決まっており、動物種の平均的な寿命はそれで決まるというものだ。具体的には。

 寿命日数 = 総新パクス ÷ 1分あたりの新パクス ÷ 60 ÷ 24

 上記で求められた数値をさらに365で割れば寿命年数になる。そして総鼓動数は15億とか20億とからしい。
 例えばハツカネズミの心拍数は600、総心拍数を15億とすると寿命は4.5年程度と計算される。
 ネコの心拍数は120で寿命は23年。
 ゾウの心拍数は30で寿命は95年となる。人間の場合は80程度で35年となった。
 実際の平均寿命はハツカネズミが2年から3年、ネコが10年から15年、ゾウは70年である。
 身体が大きくなると心拍数は少なくなる傾向にある。ほとんどはその傾向にあるのだが、人間だけが心拍数寿命より長く生きている。
 これはもともと生物的には30年が人間の寿命らしいが、医療技術の進歩によって長くなっていると言う事だ。
 平均寿命が延びているのは主に、乳幼児の生存率が引き上がっているからだが、人間の身体の器官は、30年から40年働けば限界になるように作られているらしい。
 細胞にはコピー制限があるようで、遺伝子にテロメアという物質があり分裂ごとにこれが減っていく。そしてテロメアが無くなると遺伝子が保護されなくなり、増殖以上を起こしたりする。いわゆるがん細胞だ。
 アメーバーのように分裂で増えていればコピーミスは起こらずに種での寿命は永遠と言えるが、全ての個体が同じような弱点を抱えることになる。一つの分裂対に効果的な働きをするウイルスがあれば、種全体の滅亡に繋がるのである。
 それを防ぐために異なる遺伝子を組みあわせる交配システムを選んだわけだが、それによって個体は適当なタイミングで死ぬようにできているのだそうだ。
 そもそも体力が低下することで運動能力も落ちる。感覚器官も鈍くなるわけで野生の生物であればそれらの弱体化は捕食される側に回るわけだ。
 人工透析もほとんどは糖尿病から来る者とされているが、昨今は加齢にともなって腎臓器官の機能低下が原因の場合が多くなっている。どこかの元テレビアナウンサーは人工透析患者が節操無しの糖尿病患者だらけと言っていたが、健康な身体でも老化にともなって透析になるパターンもそれなりにあるわけである。
 脳髄を構成する神経細胞は分裂して増えることは無く、加齢にともなって減少する一方である。つまりある程度の年齢による痴呆は、どうしても避けられないが人間はそれでも、残った神経細胞をフル活用するか、痴呆状態でも集団でそれをカバーできるために寿命が延びているのである。
 わたしも動物的な平均寿命の倍近くは生きていることになる。わたしの心拍数は、健康な方々に比べると100と少し多い数値だ。
 今更心拍数を気にしても仕方ないが、もし特殊能力でその人の残り心拍数が見えたら、どういうことになるだろう。
 健康な人なら一分間に80減る数値が、わたしの場合は100減っている。ゼロになるのはいつだろう。
 DEATH NOTEに出てきた死に神の目はこれと同様の機能なのだろうと思う。
 誰もが気になる自分の寿命、もしこのスキルがあれば、あなたは使いたいと思いますか?

 次回は、身体のなかの重要機関について語りたい。