ギャルゲーこと恋愛シミュレーションゲームで流行り始めと言えばコナミのときめきメモリアルであろう、以下ときメモと略す。これに異論を唱えるヲタクは少ないと思う。
 同時期に18才未満禁止の美少女ゲームはパソコンで販売されていたが、ときメモは主人公以外は登場人物が全てしゃべるフルボイスを実現したことは大きな功績だと思う。以後のギャルゲーは絵柄や物語ももちろんだが、キャラクターにどんな音声が付くかも大切な要素となった。
 その後美少女ゲームにも音声が付くことが当たり前になり、一部のアニメ声優さんが別名で声を当てるなどと言うこともあった。それはのちのちまで残ることになるので、一部の声優さんはさすがに仕事は選ぼうよと言われることになる。
 それはさておき、これらのゲームには多種多様な女の子が出てくる。まだポリコレがどうのこうのという時代では無いので、ほとんどは日本人であり、たまに帰国子女だったり、外国籍だったり、場合によるとアンドロイドだったりするわけだ。
 これらはプレイヤーの好みに合わせているわけで、ときメモの場合は11人プラス隠しキャラが二人居る。そのうちの一人は完璧超人で有名な藤崎詩織であり、当初のPCエンジン版でのゲーム目標は、高校3年間を過ごして詩織と仲良くなることだった。
 これがプレイステーション版になるとたくさんの女の子の中から一人と仲良くなることに目標が変化しており、当初のゲーム開発段階よりプレイヤーの好みは千差万別だったのが判ったのだろう。ちなみに人気順位で言うと詩織、虹野、片桐だったようである。
 このゲーム、わたしの友人の間でも当然のように流行ったのだが、一部の友人はギャルゲーのためにプレイステーションを購入したと言えず、サッカーゲームの購入のついでに同じメーカーのゲームソフトであるときメモを進められるままに購入したと言っていた。その後、その友人からサッカーゲームの話題はほとんど上がらなかった。
 さて女の子の中でわたしの一番のお気に入りは病弱文学メガネ少女である如月未緒さんなのだが、何故か初回プレイでは片桐からコクハクを受ける事になる。二回目は予定通り如月さんだったが、ゲームの進め方を理解していなかったための失敗である。
 ときメモは高校3年間を、週単位にスケジュールを決定し、その実行結果から各種ステータスを変化させるゲームである。平日はスケジュールに費やされ、日曜日や祝日はデートに誘ったりデートに出かけたりするためのものだ。
 パラメータの初期値はかなり低く、それらが一定条件上昇すると特定の女の子がアプローチを仕掛けてくる。それなのでゲーム開始当初に登場するのは一応仮にも幼なじみの詩織だけだ。そして当然のようにパラメータが低いプレイヤーを、まるでゴミ虫のように見下して接してくる。
 この出現条件だが運動関係を上げているとすぐに出てくる虹のとか清川がいれば、見た目と運動関係など複数を引き上げないと出て個無い古式のような女の子がいる。当初のゲーム目的である詩織と仲良くなるためには、全てのパラメータを一様に引き上げる必要があるのだが、そうするとおのずと他の女の子もアプローチを行うために、知り合いの女の子の数はぐっと増えるわけである。
 一種のハーレム状態であるが、あまり喜べないのはあちらから勝手に盛り上がっておいて、プレイヤーが相手をしないと機嫌を悪くして、最終的に切れて周りに悪いウワサを振りまくのである。有名なバクダンだ。
 つまりあまり好みでないとしても、ときどきデートに行かないと肝心の女の子との仲も悪くなるために、不用意に女の子を登場させるとかなり面倒になる。
 特に詩織が目標の場合、これでもかと全てのパラメータを上げなくてはならないので女の子がフル出場したりするが、これを抑える技も存在する。
 この学校にはいくつか部活がある。女の子たちは部活に参加して居る子もいるのだが、詩織はプレイヤーが誕生日を決めることができ、その誕生日によって参加する部活が変化する。そして詩織と部活がかぶる女の子は、パラメータが条件に一致しても登場しないのである。
 清野は水泳部、古式はテニス部、片桐は美術部などであり、詩織がこれらの部に参加すると女の子は登場しなくなる。それで少しでも女の子を減らすわけだ。
 それでも主人公の友人である早乙女良雄の妹である有美、良雄の友人である朝日奈などは問答無用で出てくる。
 さて、わたしの友人連中だが、見事に好みが異なっていた。そしてどういうわけか詩織が好みと言い兎友人は一人も居なかった。
 人物設定がよく出来ているというのか、わたしから見て「この女の子、誰かに好かれるのだろうか」とか思って居ると、友人の好みにはストライクだったりしているようである。
 特に友人たちの中には、ヘアスタイルに重きを置いている者が多く、ショートカット以外は認めない(虹野派)とか、ロングヘアでもストレートは認めない(古式派)、ポニーテイル至上主義(有美派)、メガネ最高(如月さん派)などに分けられる。
 ラブプラスのヘビーユーザーである声優の阪口大介さんはメガネ至上主義らしく、ときメモは初代と4は行って居ても2と3はメガネキャラがいないからやっていないそうだ。ちなみに3にはメガネキャラが一人いるのだが、それはカウントに入らなかったのだろう。
 ともかく各人は好みの女の子に思い入れが激しいため、女の子の良いところは話題になっても悪いところは口に出さないようにしていた。ただし、詩織を除く。
 何故にわたしたちの間で詩織の人気が無いか判らないが、これはとてもローカルな結果である。知人の詩織ファンに話を聞いてみると、先ほどの誕生日を操作して全ての部活で詩織と仲良くなっていたりする。全国的な人気が高いのだろう。

 このギャルゲーにおいて仲良くなる対象の女の子を数多く用意するのは、それだけ個人の趣味が細分化している証拠と言える。
 わたしの大好きなトゥーラブストーリーの第一作はレギュラーキャラクターとして5人、季節限定キャラクタとして4人が登場するが、友人たちの好みは見事に分かれた。
 わたしは文系メガネで隠れ巨乳の本多知子、古式好みはファッション系ロングヘアのみどり、虹野隙はショートカット幼なじみののぞみ、有美好みは下級生の彌生を選んでいる。どうしてここまで好みが分かれるのかと思ったが、それが個性というものだろう。
 昨今では携帯端末でのゲームが主流になっているが、女の子はいろいろと追加できるせいかかなりの人数が出ているようである。
 アイレムのエイプリルフール規格であった、108人の女の子が登場する「どきどき水滸伝」もそのうち本当にリリースされるかもしれない。
 何が悲しいかって、それを遊べない自分が一番悲しいのである。
 誰か、音声だけでもできるギャルゲーを作ってくれないだろうか。

 次回は、新たに購入したWiFiルーターについて語りたい。