わたしの目が見えている時だったので20年近く前のこと、テレビのバラエティ番組で芸能人がカラオケできそう番組があった。
 ただ、カラオケを歌った後に採点マシーンがはじき出した点数で競うのでは無く、提示されたルールにのっとって選曲し、そのルールがクリアされれば勝ち残るというものである。
 わたしが診たルールは「英語禁止」だった。これは歌詞の中に英単語を全く含まないというのではなく、英語の文章、例えばhello worldとか英語としての文法をそなえた歌詞が無いものだった。
 日本の歌でもJ-Popsなどは当たり前のように歌詞に英語を含んでいる。それは特撮番組やこども向けのアニメなどの主題歌にも含まれていて、これではこどもたちも普通に歌えないのではないかと思って居た。
 わたしのこどもの頃の主題歌と言えば、こどもが唄えるのが当たり前だった。具体的にはロボットアニメなら歌詞の中に主役ロボット名がバンバン出てくるタイプである。
 それがいつの間にかアニソン歌手ではなく、一般的な歌手が歌うように也、どこかおしゃれな雰囲気となっていた。
 わたしとしては人間が古いために「有機爆発! バーンブレイバーン」のような歌が好きである。ただ今の時代にそれを行うと色物扱いされるだろう。
 ちなみにガンダムですっかりと有名な富野由悠季御大賞は自分のアニメの作詞も行うが、昔ながらの主役メカの名前が連呼されるものが多い。
 初代ガンダムにイデオン、ターンエイガンダムなどもそうだ。
 さて、話を元に戻して英語禁止の歌詞だが、芸能人がこれはというものを歌っていくのだが、ちょっとしたところに英語が混ざっており、そこでNGとなる方が連続する。
 そんな中、ある曲が英語禁止のルールに合格したのである。

●  恋しさと せつなさと 心強さと
 歌 篠原涼子 with t.komuro
 作詞・作曲 小室哲哉

 今ではすっかりドラマ女優として有名な篠原涼子さんだが、これを唄っていたころは「ダウンタウンのごっつええ感じ」で体当たり演技を行って居た。そして小室哲哉さんの絶頂期でもある。
 意外に思ったが確かに歌詞を調べて見ると英語がでてこない。当時の篠原涼子さんはどちらかといえばお馬鹿タレント扱いだったので、英語は無理と判断されたのではないかという意見もあった。
 新しい曲でも英語が出て個無いのはあるものだと、当時は思ったものだった。
 その他にわたしが知っている英語が登場しないものと言えば。

●  太陽が燃えている
 歌 THE YELLOW MONKEY
 作詞・作曲 吉井和哉

 この歌は東京品川病院での高気圧酸素治療中の暇つぶしに、アカペラで唄えるようになるために練習したのだが、歌詞を調べて見ると英語が出て個無い。
 随分と唄いやすいとは思って居たし、歌詞がすんなりと頭に入ってくるなと思ったものである。
 わたしの英語の成績は惨憺たるもので、高校時代を通して試験結果はかろうじて赤点を超えていた程度だった。なので英語の歌を聴くことも唄うこともできなかった。
 この曲もそれなりに古くなっているが、それでも日本語で構成されていることに意外に思った者である。
 一時期は日本でも洋楽がもてはやされたこともあったが、最近では日本の音楽も見直されている。
 そんな中、最新の曲なのに英語が含まれていないものがあった。

● 祝福
 歌 YOASOBI
 作詞・作曲 Ayase

 これは機動戦士ガンダム 彗星の魔女の第一期オープニングテーマソングだ。この曲も歌詞を調べると英語文法が出て個無い。
 同じYOASUBIのアイドルにも言えることで、こちらは途中で何回か韻を踏んでいたりと日本的でもある。
 YOASUBIの曲はAYASEさんがボーカロイドPであることから、曲の途中でほとんどブレスが入らないし、人間がまともに唄えるのかというメロディーラインであるが、歌詞の方は実に日本語にしてあると言える。
 曲のコンセプトが章節などの情景を音楽にするために、誰もが聞いても判りやすいものになっているのだろうか。祝福もアイドルも歌詞を英語にしたものはあるが、この英語を含まない歌詞が、全世界的に受けているというのはどこかうれしさを感じる。
 かと言って、この曲はわたしには歌えない。仕方ないのでこれを唄いこなす様を聞いて満足することとしよう。

 次回は、病院は選んだ方が良いと言うことを考えたい。