わたしは出前で届いた商品を、直接受け取らずに玄関を開けてもらい、台所の中においてもらう形を取っている。いわゆる置き配に近いのだが屋外では無く屋内だ。
 何故に屋外の置き配を使用しないかと言えば、住所が判りづらいために過去、別の家屋の前に置いて帰られたことがあるためである。その家の表札を見れば違うと判るはずなのに、配達員の方々も急いで居るのか確認がおろそかになっていた。
 なので宅配時のオーダーは「直接手渡し」を希望して、確実に部屋の前まで来ていただくようにしている。きちんと手渡し希望としているのに、勝手において帰ってしまう場合は申し訳ないが、配達の評価は悪く付けさせていただいている。
 まずこの部屋の前まで来るのもなかなかハードルが高いらしく、通常の住所表示である都道府県・築・町名・丁目・番地・号・建物名・部屋番号だけでたどり着く確率は半分以下だ。
 ユーバーイツの場合GPSソフトがそれなりに優秀なのか、建物は判るらしいのだがそれから部屋にたどり着くことが難しいらしく、ここでギブアップの電話がかかってくる。なので最近では建物を発見した後にどういうルートを行けば部屋にたどり着けるかを文字数限界ぎりぎりまで記述した。それで日本語が通じる相手には判って頂けているようである。
 ユーバーイーツの場合はたまに海外の方がいらっしゃるが、どうやら部屋の前まではたどり着くようである。インターホン越しの会話は成り立たないことがあるので、この場合は判りやすいポストの前に置いていってもらっている。
 さてインターホンが鳴って出前であることを確認すると、鍵が開いているのでドアを開けて貰う。そして台所の中の、「ここに置いてください」の張り紙のところに商品を置いてくださいと頼むのである。
 こう文章で示すと何の問題も無いように思えるが、この説明できちんと理解してもらえる確率は8割程度。残りの2割の方々はインターホン越しに日本語が理解できる人々である。
 まずドアを開けてと言ってもドアをあけて、それを締めてドアの外に置いて帰られたことがあった。どこをどう解釈するとそうなるのか判らないが、一応商品は届いたので配達員の評価は高評価である。
 ドアは開いたのだが「ここに置いてください」の張り紙が見つからなかった場合が意外と多い。張り紙の位置は視線よりそれなりに低いので、それが見つけづらいのかもしれないが「視線を下げて」「中を見て」と言っても理解されないことはあった。
 どうやら「ここに置いてください」の張り紙の文言を説明したつもりが、ダイレクトにここに置いてくださいと理解して、適当なところに置くようである。
 台所もそこまで広くないので良いだろうと思われるが、置き場所を指定しないと、かなりバリエーション豊かなところに置かれてしまう。匂いのそれなりにある商品なら良いが、存在が判りにくいものはなかなか見つからないのだ。そのための看板だし。
 さて、どうしたら良いのか。ハズレの確率は2割なのだが、こちらとしては相手に誤解を与えないように置き場所を指定する方法は無い者か。
 いろいろと考えた結果、わたしは盲人の立場で考えていたが、相手は晴眼者。なら晴眼者が一番判りやすい方法を取ればよいのではないか。
 そこで黒色の玄関マットを購入。台所も一面にえんじ色のジョイントマットを敷き詰めているので、黒色は目立つはずである。
 そして玄関を開いた後「黒の玄関マットの上に置いてください」と言うようにした。
 今の所誤解されることは無いようである。わたしとしては物品を色で言われるのは一番苦手だが、目が見えていれば色で識別する方が楽だったようだ。

 改めて思うのは、見えている場合と見えない立場からの違いである。何度か書いているとおりわたしに物品の色で判別を依頼するのは少々無理がある。目が見えている時に購入した物であればその色を覚えているかもしれないが、もっとも新しくて16年も昔のことだ。
 それ以降購入しているもので色合いを意識しているものは少ない。どうしても色指定で購入する場合は友人に判定をお願いしている。
 今回も置き場所を明確にするための立て看板と文句だったわけだが、どちらも受け取る側にしてみると曖昧なのだろう。
 意外だったのが「ここに置いてください」の文言を見てくれていないことだ。文章は誤解を生まないように短くしたつもりだったが、時間に追われる配達員の方々にしてみると、文章を読めということも面倒なのかもしれない。
 それに対して「黒い玄関マット」というのは目が見えていれば判りやすい指標なのだと思う。玄関マットは台所にあって不自然さは無いし、ジョイントマットのえんじ色に対して黒色はそれなりに目立つはずである。
 一応配達員の方々に判りやすくと考えていたが、晴眼者に向けて判りやすくしなければならないのだと判った。
 まだこの玄関マット方式は始めたばかりであり、どれほどの高価があるか未知数である。それでも今後、双方に誤解を生みづらいやり方を求めていきたい。

 次回は、パソコンのインストールメディアの変遷について語りたい。