タイトルのようなセリフを健常者から盲人に放ったとしたら、それは大炎上するかもしれない。今やSNSでは炎上ネタを求めて誰もが跋扈している状態だ。
 ここで白杖を邪魔と思うのはわたしであり、使用者としてほぼ必須だからこそ、使わないときの邪魔さ加減についてはほとほと困らされている。

 白杖とは呼んで名の通り、白く塗られた杖のことだ。道路交通法では身体に異常がある場合、白、もしくは黄色の杖を持つことが定められている。他の歩行者や運転者に向けて、白杖を持つ者が自らの安全を確保するのが難しい存在である証拠となる。
 いわゆる交通弱者の証明となるわけだ。おおよそは視覚障碍者が持つが、聴覚障害者や四肢の障碍者でも安全のために持つことがある。
 杖と行ってもお年寄りなどが身体をささえ、歩行の補助を行うものではない。役目としては指先の延長であり、立ったままの姿勢で路面などの状態を把握するためのものだ。
 なので白杖の長さは使用者の身長などに合わせる必要がある。わたしは120センチメートルのものを使用しているが、それより短いものも長いものも販売されている。
 白杖は非課税商品であり、大抵の地方自治体で日常生活用具給付対象となっている。そのためほぼ無料から1割負担程度で購入できる。
 以前にも説明したが日常生活用具給付で購入できるのはストレートタイプのものが多いようである。これは杖として一本の材料から作られているものだ。石突きの部分はとがっている。
 白杖の中には折りたたみ式と伸縮式がある。また先端はとがっているものとローラーがついており、左右に振りやすくなっているものもある。
 材質は木材、スティール、カーボンなどだが腐食を防ぐためにスティールやカーボンが好ましい。耐久性はそこまで求められないので、軽いカーボン製の方が取り回しは楽だろう。
 わたしの使用しているものは六個に分割できる折りたたみのものでスティール製、先端はローラーとなっている販売価格は5000円程度だ。
 何故に折りたたみ式を使っているかというと、必要の無い場面でコンパクトになり、なおかつ延ばして使うときに誤って短くなる自己を防ぐためだ。
 わたしは伸縮式の白杖も持って居るが、確かに収納すると折りたたみ式よりコンパクトになる。だがロック機能が曖昧だと地面に突いたときに短くなってしまう。普通の伸縮式はネジ式となっているために、どんなに強く締めたつもりでも、不意に体重が掛かると収納されてしまうのである。
 これはロック部分を反ひねりするとジョイント部分が固定されるような構造なら良いと思うのだが、そのような杖はまだ見たことが無かった。
 白杖を折り畳むシーンというのは、主に自動車など背の低い中に入る場合などに利用する。タクシーも今では背の高いジャパンタクシーが主龍になっているが、以前からのセダンタイプのものだと、120センチメートルの杖はそのままで持ち込むとかなり邪魔なのである。
 透析クリニックの送迎に扱われているのはバンタイプの車種だが、120センチメートルの杖ではぎりぎりで収まる程度で、折りたためないと車内での取り回しはやっかいだ。同乗者がいなければ良いが、乗り合わせ方式になっているために側に居る方に迷惑はかけられない。
 最近は足の傷があるために、クリニック内部での移動では車いすが必須になっている。ここでも車いすに乗るときに、白杖を折りたたんでおかないとかなり邪魔になるわけだ。
 何よりわたしの目が見えないために、のびたままの白杖を取り回すことで、周りにぶつかることも充分考えられる。
 乗物と白杖の相性は、あまり良く無いのが現状だと思う。

 そして病院施設を利用する度に、白杖をどこに置くのかが問題となる。
 今までいくつかの入院施設に入ったが、どこも杖などを収めるケースなどは用意されていない。
 入院時には職員の方に誘導してもらうために、白杖を使用することは少ないが、リハビリなどでは独立歩行を行うために使用する。そのために棚にしまい込んでおくわけにもいかないのである。
 おおよそはベッドの下が空いているのでそこにおいている。ただ清掃などが行われると、奥に入って行方不明になることはある。
 少なくとも眼科病棟であればベッドに白杖用のケースがあれば良いのにと思うのである。
 だからと行って日本中の全ての病院の、病室に白杖ケースを取り付けろとは言わない。わたしの場合はダンボールとガムテープとハサミがあれば、それで使い捨てのケースを作るからだ。
 あまり需要が無いのか、障碍者向けの用具を販売しているサイトでも見かけないが、どこかできちんとした製品を作ってもらえればと思うのである。

 次回は、差額ベッドのサービスについて考えたい。