思い起こせば29日間というのは短いもので、特に手術が終わってしまうと比較的静かであった。
 お医者さんはほとんど変わっていなかったが、看護士さんを含む職員の方々はほとんど入れ替わってしまったようである。
 みんなにはとてもお世話に鳴ったし、おそらく2年居ないに再び訪れると思うので、その時にはまた、よろしくお願いします。
「判ってるな、もう二度と来るんじゃないぞ」
「大変お世話になりました」
 やっぱり入院生活と刑務所の暮らしは似ているのかもしれない。

● 4月5日 金曜日 朝食
 食パン マーマレード
 里芋の煮物
 小松菜のおひたし
 ヨーグルト

 そして最後に書類やらクスリの引き渡しを受けて、わたしは送迎の介護タクシーとともに我が家に戻るのだった。
 もどったのだが、まあ家電とかネットワークには異常がなかったのでよしとしよう。何が起きていたかについては書くことがあるかもしれない。
 ともかく荷物の中で日常的に使用するものを急ぎ展開し、さっそく昼飯はユーバーイーツでインドカレーをたのむ。
 関係各所に連絡を入れてから一息ついていると、連帯保証人の父方の従兄弟が不意にやってきた。
 どうやらケアマネージャーから本日の退院の話を聞いていたらしい。
 さらに先回りして事務所に挨拶を行って居た。さすが、会社を持つだけのことはある。
 母親の三回忌の話とか、そんなものでお帰りになる。
 さて、今晩はうなぎの釜飯でも食べようか。
 片付けの終わっていない荷物は……見なかった事にしよう。