野生の動物の身体はもしもの飢餓状態にそなえ、その場で手に入る栄養物はなるべく確保しようとするらしい。保護されたばかりの野良の子ネコが、差し出される食事をありったけ食べていたのだが、三日ほどするとピタリと小食になった。
 心配した保護主は動物病院につれていったのだが、今の食事量が適切であり恐らくは飢餓状態からいつ、食事ができるか判らないために食いだめていたのではないかと。そして保護された環境では同じタイミングで食事ができるためにあまり食べなくなったのだろうと教えてくださったそうである。
 人間も余剰分のカロリーが脂肪に変換されて身体の各所に蓄積されるのは、いざというときにそなえたものだろう。それなので必要な栄養素は食べるときにも幸福感を感じるのである。
 例えば油とか、例えば糖分とか。
 ちなみに今回はお食事関係の話ではない。
 わたしも貧乏性と言うのか、何かとため込む癖がある。ここで問題になるのはケーブル類だ。
 以前にも説明したが家電やパソコンなどを接続するケーブルには多種多様な種類と、それに接続するのに適した長さというのがある。そしてケーブルによって価格もそれぞれだ。
 一時期話題になった最高級オーディオシステムのスピーカーケーブルなど1メートル1万円は当たり前のようにしていた。不純物をほとんど含まない銅で作られていると言うが、伝導率を考えれば銀で、耐腐食正を考えれば純金で作れば良いのにとか思ったものである。
 ともかくケーブル類の面倒なところは、形状と長さの組み合わせで適切なものが決まるということだ。逆に言うとコネクター形状と長さが合わなければ使用できない。
 その場で使用できないケーブルもいつか日の目を見ることがあるかもしれないと思いつつ、専用のダンボール箱に押し込んだ結果、かなりの分量がたまる。そして再利用されることなく必要なケーブルはアマゾンで新品を購入するのである。
 そんなわけで押し入れの中、そのダンボールのケーブルを処分しようと思った。これはいつか処理しないと2倍化増殖駅を含んだ栗饅頭のようになってしまうだろう。
 ちなみにケーブル類はわたしの住んでいる地区では不燃ゴミになる。形状や長さは関係無く、近所では第一と第三火曜日に所定のゴミ集積所に出せば良い。
 ただ、最初に処理方法を聞いたときは、レジ袋に収まる程度ならという条件だったのだが、再度確認したら45リットルゴミ袋4袋未満であればそのまま不燃ゴミとして出してよいそうである。
 4袋以上になる場合は専門の処理施設に問い合わせることらしいのだが、ケーブル類の出し方は。
「ケーブルはなるべくまとめて、中身が判る袋に入れてください」
「それって半透明ではなく透明な袋ですか?」
「その通りです」
 そう言えば不燃ゴミは透明なゴミ袋に入れて捨てるようにとどこかに書かれていたことを思い出した。それはそれで専用のゴミ袋を購入すれば良いのだが。
 半透明と透明のゴミ袋。購入後はどうやって判断しよう。
 恐らくは購入後に物理的に離したところに保管しておけば良いのだが、ゴミを選別するときにはダンボールに入って居た可燃ゴミも分類しなければならないし、どこかで混ざることも考えられる。透明と半透明では材質が異なるから、指先が鋭敏であれば判定できるのだろうが、末梢神経症に冒されたわたしでは無理である。
 そこで考えたのがiPhoneアプリの紙幣判別アプリである。これは造幣局から提供されているもので、iPhoneのカメラがとらえたお札の映像から、日本で利用できる紙幣の額面を判定する者だ。
 ここで千円札を床に置いて、そのうえにゴミ袋を重ねる。そして紙幣判定アプリをゴミ袋の上から行うのだ。
 透明であれば普通に紙幣が判定できるが、半透明であれば映像が不鮮明になって判定はできない。実際にやってみると予想通りである。ただ、半透明が紙幣を判定できないと決定する切り分けが難しかった。
 ま、管理をきちんとすれば、ここまで面倒なことは行わなくて良いのだが。

 それにしても、iPhoneはなるべく接続ケーブルを全廃する方向で進んでいるようだが、最終的にワイヤレスとなるのだろうか。
 appleが企画したワイヤレス充電装置はどこか頓挫しているみたいだし、ライトニングケーブルからUSBのタイプCに切り替わったりとここ数年ではなくなる様子はない。
 なにより家電の電力供給がケーブルに依存しているのだし、これが簡単に無くなるとは思えない。
 わたしとしては安全で使いやすい企画であればワイヤレス化は賛成なのだが。

 次回は、甘い物がもたらす効果について考える。