2024年冬アニメで「勇気爆発 バーンブレイバーン」を紹介したが、きちんと地上波を録画して見て居るのは一つだけ。
 それが「悪役令嬢 レベル99、わたしは裏ボスですが魔王ではありません」だ。
 これは異世界ファンタジーの中の悪役令嬢ものと言われるジャンルで、何らかの事故死をとげた女性主人公は、それまで自分が遊んでいた乙女ゲームの世界に転生するが、その立場はゲーム中でヒロインを虐める悪女であり、このままストーリーが進むとヒロインがどの男性とくっついてもくっつかなくても、かなり悲惨な状況となる。それを何とか回避しようとゲームの知識をフル動員して生活するというものである。
 舞台は王家と貴族が支配する、異世界ファンタジーにありがちな世界、魔法が実在し魔物と以前は魔王が居た。主人公は現代世界から事故に遭ってこの世界に転生するが、産まれた沙希はユミエラ=ドルクネスという地方貴族の一人娘である。
 本来は地方伯爵の一人娘と言う事で大切に育てられるところ、黒髪であったことから政略結婚の道具としてだけ育てられ、両親とも同居はしておらず直接顔も越えも利いていなかった。以前に居た魔王が黒髪であったことからこの世界では、色の濃い髪の毛が寄付されていた。
 この世界は「光と魔法の勇者様」という乙女ゲームの世界そのままであり、ユミエラは立場上、ヒロインを虐める悪役令嬢役であった。しかもいくつかの条件をそろえると、魔王を倒した後に裏ボスとして登場するのである。
 いずれにせよ、このままではゲーム通りにシナリオが進み、自分は悲惨な最期をとげる、そう考えたユミエラはまず、一人でも生きていけるようにとレベル上げに必死になる。そして15才を迎えたとき、貴族の学校に入学したが、そこで行われたレベル判定にてレベルが99であることが知られる。
 一般の生徒であれば一桁でも普通、レベル10であれば誉められる世界に、吐出したレベルを備えた彼女はどうやって平穏な日常を迎えるのか。
 小説家になろうの異世界ファンタジーにおいて、「おれ、またやっちゃいました?」という賢者の孫メソッドがある。これは自分の実力をきちんと把握して折らず、ついやったことで周りがドン引きする様子に言う言葉だ。
 ユミエラは自分のレベルが99となっていたことには気が付かなかったが、自分が充分に強いことは理解している。それでもどこかダウナー形質の彼女は、できれば平穏な生活を送りたいと願っているが、実は二年後に魔王が復活するという情報もあり、その討伐のために力を貸してほしいと王族からも頼まれるのである。
 以下は主人公をユミエラとして記述するが、このどこかヤル気の無い主人公は、ことレベル上げについては非常に熱く語る。
 基本は魔物狩り、ともかくひたすら魔物と戦う。一つしか装備できない御封は一般人が一度だけクリティカルな攻撃が避けられるものではなく、取得経験値が二倍になるものを装着。
 パーティーは獲得経験値が分散するのでソロで、防御力が強い魔物より攻撃力が強い魔物を狙い、ダンジョンの中では魔物を呼び寄せる笛を使って戦闘を続ける。
 ゲームの戦略としては正しいのだが、それが貴族の学校の中で正しく認識されることは無く、自分としてはお役立ち情報を披露したと思ったのに理解されないのである。
 何だかこの話を聞いていると、20年近く前目が見えていた頃に遊んでいたオンラインゲーム、ラグナロク・オンラインでのことを思い出した。

 ラグナロクについては詳しい説明はさけるが、日本でそれなりに流行ったMMORPGである。
 わたしも友人もゲームを行って居たが、もともとのコミ賞と引きこもりなのでわたしはソロプレイが基本である。
 そもそもAGI特化型両手剣ナイトではパーティーに誘われるはずがない。そこで一人で各種クレイモアを使い、ツーソードク一見とバー作ポーションにて底上げした攻撃速度でピラミッドの四階、ミノタウロス相手にレベル上げに専念していた。
 それでもレベル98まではいったのでそこそこ強かったと思う。AGI以外は適当にパラメータを振ったのでどこか中途半端。どうせならAGI・DEX特化で最高速攻撃騎士にでもなれば良かったのか。
 何となく効率重視にソロを語るユミエラを見て居ると、あの時の自分に重なるのである。

 物語としては1クールなのでどこまで進むか判らないが、わりとのんびり進んでいるので魔王討伐まではいかないだろう。
 ゲームの主人公の女の子、アリシアの成長を助けるために地元の闇属性ダンジョンで無理矢理特訓するところまでか、そこまでも行かないかもしれないが、是非続きを作ってほしいものである。
 あと、アニメの方ではユミエラが独白する場面などにSDキャラクタが描かれているようで、それが何とも可愛らしいのだそうだ。それをこの目で見られないのが残念である。
 アニメ以前にYouTubeなどではストーリー朗読が行われており、その時と声優さんは同じようでとてもよく合っていると思う。
 果たして区切りの良いところで終わるのか、それだけが気になる作品だがアマゾンプライムで配信されているので加入されている方は診てはどうだろうか。

 次回は古き良き日のテレビについて考える。