週に一度、わたしの部屋に訪れていた男性の看護士さんが、地元に戻られて新しいお仕事を始めるということになった。もう2年近くの付き合いになるが、部屋が汚部屋状態のころから訪問看護を行って頂いていただけに、どこか感慨深い。
 最初は狭苦しい台所で、ろくな設備も無いところからお付き合いいただき、誠にありがとうございました。今後のご活躍もお祈りしています。
 ところで、訪問看護は引き続き行われるが、継続してわたしの担当になったのは、20代後半の女性看護士さんであった。看護士の世界では男性の参入はありつつも、女性の比率は8割から9割になるらしく、これも当然のことである。ここ数回は前任の看護士さんと二人で訪れ、どのような手順で看護業務を行うかを指導されていた。
 ただ、全くの新人ではなく、病院での看護士業務を経験しているために、手際などには全く問題は無い。ご本人曰く、リハビリの経験があまり無いとのことなので、前任の看護士さんの行って居たことと、リハビリを受けるわたしの感想から今後、リハビリを行えるように学習を進めるということらしい。
 男性から女性と言う事で、腕力では差分が出るのだろうかと思ったが、仰向け状態から両膝を立てて、合わせた両膝を開くリハビリを行った時、看護士さんは両膝の外側に手をそえて内側に圧迫して付加となる。
 そこでいつも通りに膝を開こうとしたのだが……動かない。びくとも動かない。あれ、わたしってこんなに力が弱いのか?
 どうやらリハビリの経験が少ないために、看護士さんが力加減に迷って全力で抑え込んだ結果のようである。さすが、女性と言え肉体労働に近い看護業務をこなしてきただけある。
 どちらかというとわたしの筋力に不安を覚えつつ、翌週以降はお一人でいらっしゃるので、お互いに確認し合い看護を行っていただければと思う。

 わたしが対面した看護士さんだが、勤務状態にはいくつかの分類があるように思える。
 一般的なのは病院に務める看護士さんで、この中でも病棟看護を行う場合と診察看護を行うのに分けられると思う。
 病棟看護の場合、入院患者のお世話になるわけだが、勤務時間としては日勤と夜勤に分けられるようだ。病院によっては日勤、夕勤、夜勤の三交代になるのもあるが、わたしが対面した勤務は二交代だった。
 日勤と夜勤は勤務時間がかなり異なるが、夜勤の看護士さんの人数はぐっと少なくなり、検査や治療は無いが夜間の入院患者対応を行わねばならずかなりのハードワークに思える。
 夜勤は夕方の5時くらいに日勤から引き継ぎ、翌日の朝9時に日勤に引き継いだあとその日と翌日が休暇となる。休みが多く思えるが、夜勤明けはかなり疲労しているので部屋に戻って寝て過ごすことが多いようだ。
 あと日勤と夜勤の分担は、ある程度の希望もできるがフロアの責任者、主に士長さんが決定するらしい。夜勤の場合は他に誰と組み合わせになるのかがいろいろと問題となるようである。

 病院に勤めることでは透析クリニックも含まれるが、透析の場合は勤務形態が少々異なる。
 まずクリニックが深夜帯の透析などを行って居ない限り、勤務時間は日中に固定される。
 またほとんどのクリニックは日曜日を休日としており、急患も発生しなければ夜勤も無い。勤務時間としては比較的安定しているが、祝日と土曜日に関しては休日扱いにならない。
 ゴールデンウイークや夏休み、年末年始の長期休暇は申告制で、勤務状態からシフトを割り当てるようである。
 日曜日は休日となること、夜勤が無いことから、結婚などを機会に看護業務を引退した看護士さんが復職することが多いようである。

 今までの看護士さんが医療施設で働いているのに対して、患者の居住区に訪れて看護を行うのが訪問看護である。
 これは患者が医療施設に訪れるのが難しい場合などに、医療関係者から派遣依頼されて訪れることが多いようだ。わたしのところに訪れて居る看護士さんは、下北沢病院からのリクエストである。
 訪問看護の場合は特定曜日の特定時間帯に訪れる。看護士さんはそれぞれの移動手段で患者宅を訪れるようである。
 病院と異なり、医療機器や薬剤などの制限があり、突発的な状況には対処が難しい場合もあるが、緊急の場合は救急車によって専門機関に移送となる。治療を行うが、見守りを主に行って居るようである。
 休日については自己申告で週の休みとなる曜日を決めているそうだ。ただ、これは全ての訪問看護師事務所によるものでは無いようである。
 訪問している間は一階位置の看護になるため、病棟勤務に比べると負担は少ないと言うが、移動距離が多くなるとそれに時間を取られたり、どんな天功でも訪問しなければならない。

 どの業務形態にしても人間を相手にしなければならず、今後もAIなどでは対応が難しいため、今後も無くなるどころか必須のものとなるだろう。
 介護士さんもそうだが、これらの方々に、十分な報酬が払われるようにお願いしたい。

 次回は、ウイルス性胃腸炎に罹患した話をしたい。