アニメのロボットものには、大きく分けて二つのジャンルがある。スーパーロボットものとリアルロボットものである。
 スーパーロボットものは登場するロボットが絶対的なパワーを持っていて、唯一の存在である。それで悪の軍団に対抗するものだ。具体的にはマジンガーZやゲッターロボ、コンバトラーVであり、リアルロボットものが登場するまではアニメと言えばこのジャンルでアタ。
 リアルロボットものは登場するロボットが兵器の一部として運用され、主人公の乗る機体は一部特殊であるが、それでも量産品の一部であったりする。こちらはガンダム、ダグラム、ボトムズ、マクロスなどであり、ガンダムの登場以降はどちらかといえばリアルロボット路線が増えていた。
 スーパーロボットは圧倒的な力を演出するために機体は巨大である。マジンガーZは18メートルとそれほどでも無いが、おおよそは全高60メートルほどであり、ガンバスターやダンガードAのように全高250メートルのものや、グレンダガンやゲッターエンペラーのように宇宙サイズのものもある。
 それに反してリアルロボットは兵器運用を考えてガンダムの18メートル、バルキリーの15メートル、ボトムズのアーマードトルーパーの4メートルと小型だ。
 たまにイデオンのように宇宙的な圧倒的な力を持つロボットが出てくるが、その他の背景描写についてはリアルに設定されているものもある。ちなみにいざとなったら惑星を両断できるイデオンはスーパーロボットとして扱われている。
 最近の傾向ではロボットものが少なくなりつつも、リアル路線のものが増えている。
 2024年1月から始まる冬アニメ『勇気爆発 バーンブレンバーン』はそのタイトルからスーパーロボットものかと思わせつつ、提示されるビジュアルはリアル路線を彷彿とさせていた。
 近未来、二足歩行のロボットが兵器として実用されており、ハワイではアメリカ軍と自衛隊が合同演習を行っていた。その描写はリアルその者であり、第一話の冒頭はそのペースで話が進む。
 ここで一応ネタバレ注意。
 そして後半、合同演習の途中で突如、空から謎の物体が降下、軍人民間人問わずに襲ってきた。謎の敵に対してアメリカ軍も自衛隊も手持ちの武器では倒すことができない。
 その絶望的な状態で空から別の光が舞い落ちると、そこに9メートルあまりの巨大ロボットが出現し、苦境の主人公に「待たせたな」と言うと主人公を内部に登場させるのである。
 困惑のままにコクピットに乗り込むと、とたんに主題歌『バッバーンと推参! バーンブレンバーン』がコクピットに鳴り響く。困惑する主人公をよそに、自発的にしゃべるのは良いとして人の話を聞かないロボットは、主人公に闘う事を強制する。
 そしてロボットの兵器は剣、それで主人公に必殺技の名前を叫ぶことを強要し、謎の敵を撃破するのである。
 見事なまでのスーパーロボット展開である。何しろロボットに自我があり、主人公に異様なまでの愛着を得ており、やたらしゃべるのだが人の話は最後まで聞かない。
 これほど画面が見られたらと思うアニメもここしばらくなかった。
 そうそう、このロボット、自称ブレイバーンには口があって、しゃべるときにはそれがきちんと動く。さらに感情表現をしてみせることから、スーパーロボットの中でも、以前にあった勇者ロボシリーズに似ている。

 それに特徴的なのは主題歌である。最近のアニメの主題歌は、J-POPとあまり区別が無いのだが、もはや平成を通り越して昭和チックなそれ。
 以前のロボットものの主題歌には以下の特徴がある。
・歌の中でロボットの名前を連呼する
・コーラスは野太い男性のもの
・歌詞の途中で必殺技の名前を叫ぶ
・やたら濁音とか「ん」が多い
・ともかく勇ましい
 しかも歌っているのは劇中で主役ロボットであるブレイバーンの声を演じておられる、鈴村健一さんだ。それもかなりのりのりである。
 恐らく一度聞いたら頭から離れないに違いない。わたしは早速250円を払ってiTuneから購入した。
 鈴村健一さんはベテラン声優であるが、特撮オタクとしても知られており、それが思いっきり良い方向にシフトしていると言って良い。深夜に放映するより、土曜日の夕方とか、日曜日の朝に放映する方が似合っている。
 ちなみに、リアルロボットものの改組と呼ばれる富野由悠季監督は井荻麟名義で自分が監督するアニメの主題歌を書いておられるが、リアルロボットに分類されそうなものでも上記の形式に則っていた。キングゲイナーの主題歌などその一例である。
 今の所、このブレイバーンが本当に味方かどうか判らないし、ともかく悲惨な目にあっている主人公がどうなるのかも注目である。
 現代の世に現れたこの作品、どうなるか期待したいがどうせなら1クールではなく4クールで放映してほしかった。もちろんロボットの超合金が販売されるのもセットだ。
 久しぶりに画像を見たくなるアニメ、やはり日本に居て良かったと思ったのであった。

 次回は、京都アニメーション放火事件の判決について語りたい。