わたしの住んでいる町では、毎年4月上旬に桜祭りを開いていた。
 これは街路樹として立派な櫻が植えられている並木道があり、そこを通行止めにして土日に行うものだ。コンビニエンスストアや近所の商店が出店を開き、信用金庫の駐車場はカラオケ会場になる。天候が良ければなかなかの賑わいとなる。
 わたしの住んでいるアパートのオーナーの親戚が焼きそばの出店を出しており、母親はそれを買って帰ってくるのだが、味はペヤングの方が上、具が入っているのが少々マシ程度のものだが、出店効果で売れているのを評判と受け取ったのか、最近ではオーナーの店舗で常時販売しているようだ。
 ただ、ここ3年間はコロナの影響で開催は見送っており、久しぶりの開催となる。まさしく満開の桜の下で、今年は盛り上がるであろう。
 残念なことに、桜はほとんど散っており、葉桜祭りになっているがそれは些細なことなのだ。

 さて、本日はエイプリルフール、日本語にすると四月馬鹿、直接すぎてちょっと笑えないが、嘘をついても許される日となっている。
 ただ、嘘をついて良いのは午前中まで、午後からは午前中についた嘘を反省するらしい。その他にもいろいろと言われているが、日本でもそれなりに浸透しているイベントだ。
 昨今はコンプライアンスだのなんだので、この手のイベントはやりづらくなっている。
 昭和の時代には企業もエイプリルフールにいろいろと参加することがあって面白かった。
 具体例として週刊TVガイドのエイプリールフールテレビ欄がある。
 週刊TVガイドはその名の通り、一週間分のテレビ放映情報を掲載している雑誌である。わたしが小学生の頃と言えば、今では考えられないほどテレビは娯楽の王様であり、この先一週間分の放映情報が得られるこの雑誌は販売をとても楽しみにしていた。
 ある歳の4月第一週の発刊だと思う。何だか普段と異なる番組情報が掲載されていた。横軸に放送局、縦軸に放送時間が並んで居るそれは4月1日の放映一覧なのだが、番組名と内容が変だった。
 例えば「天災バカボン」だったり「昇天」だったり。内容紹介もどこかふざけている。
 そのページを無視して先を読んでみると、普通の4月1日の放映紹介が出てきた。そう、最初のそれはエイプリールフールで嘘の放映一覧だったのだ。
 わたしが初めて経験した、それなりにメジャーな存在の英エイプリルフールコンテンツだと思う。
 あと、今では廃刊となった月刊ASCIIでも4月号には中程に、誌面の色を変更した年刊AhSciiが挟まれていたことがあった。
 これはASCIIの嘘情報を載せたもので、モノクロであったが表紙は本編のものに似せており、どこか怪しいニュースにちゃんと動作するプログラムの紹介が載っていた。
 ニュースでは1メガビットのWOM、right only メモリーだ。当時としては破格の用量だが、書き込んだ情報は参照できない役立たずのものだった。
 このように誌面ではいくつかの媒体がエイプリールフール特集を行って居た。
 これがインターネットとホムペー自サイトの時代になると、4月1日だけの特別コンテンツを掲載するところも多かった。
 特にゲーム会社ではその傾向が強く、アイレムでは毎年、かなり凝ったサイトを作り上げていた。
 その中でも印象的なのは「どきどき水滸伝」だ。これはいわゆるギャルゲーなのだが攻略対象は同じ高校に通う女学生、女性の職員計108人。サイトにはそれぞれ108人のプロフィールがすべて掲載されていた。
 昨今ではサイトでエイプリールフールの特集を行って居るか調べていないが、それこそ嘘情報を載せたとなると社会的問題となりかねない。

 最近ではエイプリールフールに嘘を言う相手も少なくなってしまった。
 4月1日は土曜日、丁度透析日なので「実は俺、ポニーテイル萌えなんだ実はわたし、目が見えていたんです」とか言ってみるか。
 しかしそれが本当ととらえられかねない。
 今の所は嘘をつかない生活をしているのが安全なのだと思う。だって国家の運営からして嘘だらけに思えるからだ。

 次回は介護現場とロボットについて考えたい。