メイドと言えば家政婦、それは一時期オタク界隈での大きなコンテンツであり、まだ目が見えていた15年ほど前は、秋葉原の裏通りを野良メイドさんが歩いている程度にメジャーな存在だった。
 あの頃の秋葉原は電気街とサブカルチャーが融合しだしたころで、秋月電子のあたりとかは中古パソコンショップなどが乱立し、そこにいるどこかの国の言葉を話すバイヤーとか、メイドさんとか目つきが鋭いオタクの方々とか、ともかく一般人が足を踏み入れるのに躊躇するものだった。
 今の秋葉原デパートはサブカルチャーの店舗が入っているが、以前はトランスの専門店、パワートランジスタの専門店、メーターや工具の専門店など、ここで見つからなければ諦めるしか無いような品揃えの、ディープなお店が集結していたのである。例え購入する予定が無くてもこれらの店舗を巡るだけで、どこかサイバーパンクな雰囲気に浸れたものである。
 特撮SFアクション映画「ゼイラム」の寸評で、90年代の秋葉原が写し出されるが、その様子が今とかけ離れているので驚かれるが、わたしにとっては電気街としての存在が本来の姿である。そこにあるのは電気関係の店舗と数少ない飲食店のみ。表通りはラオックスとか石丸電気があるために華やかであるが、路地を一歩入るとそこは不可思議の世界になるわけだ。
 話をメイドさんに戻そう。
 いつからメイドさんがオタクコンテンツとなったかは判らないが、創作の世界ではおぼっちゃま、もしくはお嬢様のわがままに振り回される気弱なメイドというのが定番だった。衣服はロングスカートで紺色が基本のメイド服である。
 それがいつの間にか片手にP90を保持しつつ、おぼっちゃまお嬢様を守るために戦闘をこなす姿が定番となる。MMORPGで有名な「ラグナロク・オンライン」でそこそこ強敵であるモンスター・アリスは外見はメイド服で持っているほうきで攻撃してくる。

 それなりに以前、友人が同人誌を作ってコミックマーケットで配付していたのだが、ブースにつめるのは友人とその仲間たち。わたしは182センチメートルのそれなりの高身長と言われるが、類は友を呼ぶと言うのか仲間たちは190センチメートルを筆頭に、平均身長は185センチメートルという大男ばかりであった。
 普段であれば175センチメートルという「背、高いですね」と言われる友人も、そこでは比較的小柄な男となる。そんな連中がブースに詰めているのではどことなく威圧感があるのでは無いか、そこで主催の友人は考えた。
 大学の後輩女子を誘い込んで、メイド服を着てもらうと配付院として雇ったのである。185センチメートルが平均の野郎共の中に、160センチメートルも無い女子がメイド服を着て接客をする、話題になるに違いない。
 しかも友人のこだわりが強いというのか、メイド服はコスプレ用の安い者ではなく、きちんと業務用のそれを購入したようだ。一式で5万円程度、メイド服は接客女子へのプレゼントとなった。
 さて、コミックマーケットの当日はどのようになったかと言うと、あまり話題にならなかった。
 簡単に行ってしまうとメイド服が業務用のこともあり、そこまで目立つものではなく、かなり自然に見られたのである。それに友人のブースに訪れる方々は、そこで配付している同人誌が目的であり、それを受け取ると別のブースに移動してしまう。
 それに派手なメイドさんは会場にいくらでも居る。そこに紺と白のメイドさんが居ても目立つことは無かった。変なお客さんが来たらどうしようかと思ったが、それも杞憂に終わって無事、コミックマーケットも終了した。
 今では良い思い出となったが、売り子の女性もそうであると良いと思う。

 わたしのところには週に二回、一回に45分のホームヘルパーさんがいらっしゃる。ちなみに二人とも男性である。
 主な仕事は食器の洗い物と掃除、たまに外出しATMから現金を下ろすこととそれに付随してお買い物である。
 ヘルパーさんは介護保険から利用しているためにわたしの負担は1割となっている。そのために一ヶ月の負担金額は3000円程度だ。ちなみにわたしの介護レベルは要支援2である。
 介護保険から派遣されるヘルパーさんは行える仕事が限定されており、概ね利用者の生活を支援するものとなっている。行える仕事はかなり細かく限定されるために、ごみ出しは出来るが窓拭きはできない、飲食品の買い物代行はできるが、酒や煙草は買い物代行ができない。
 これらの不可能な作業をお願いするときは10割負担の実費となるわけだ。
 わたしは介護保険での対応が難しい、各種書類の申請や、遠方の病院内での対応に、いわゆる何でも屋さんを利用させて頂いているが、二時間程度の対応で8000円程度の料金となる。これは作業によって変動しており、わたしの場合は一番安い料金で対応可能な作業のようだ。
 料金が高くなるのはゴミ屋敷の清掃や急な引っ越しなどで、物件の状態や建物の階数、エレベータなどの施設状況、または季節で変動するようである。
 介護保険を利用しない家事であれば、家事代行サービスの出番となるが、これはもちろん実費となる。
 そこで「家事代行 料金」でググって見ると、一回の派遣で7000円程度で部屋の片付けを行って頂けるようだが、料金次第でその作業範囲が変わってくるようである。
 これらの家事代行は通いで蟻、メイドものにありがちな住み込みとなると料金は跳ね上がる。おおよそ33万円から50万円というからわたしの給料より高い。
 そもそも、今のわたしの部屋ではメイドさんが住み込める余裕も無いし、住み込んでまで行っていただく仕事も無い。
 透析から帰ったら「お帰りなさい、御主人様」とメイドさんに言われるのは良いかもしれないが、それこそ姿が見えていないのだし、ロボットでも構わないかなとか思うのである。
 メイドと言えば少女型ロボットが定番となったのはLeaf社が販売したゲーム「to heart」の登場人物、HMX-12、マルチからだと思うのだが、わたしとしてはメイドにドジっ娘は求めない。
 以前も話題にした盲動ロボットも含め、格安もしくは保健でこのような自立型介護ロボットが登場するのはいつだろう。

 次回は被災地に送る義捐物資について考える。