それなりに以前、iPhone4sが古くなったし、世間では大画面スマートホンが流行りという事で、会社の近所のAUショップでiPhone6に触れて見た。
 さすがに3.5インチのディスプレイから4.7インチはかなり大きく思えた。同時にiPhone6プラスも触れて見たが、なんだか大きすぎてウチワのように思えた。こちらは大きすぎる。
 そこでiPhone6を購入したのだが、ここで残念に思ったのは、背面のカメラがわずかに出っ張っていることだ。おそらく1ミリメートル程度だと思うのだが、その出っ張りのおかげでテーブルに置くと背面はどこか空白があいて落ち着かない。
 スマートホンは手の中に収めて使う人がほとんどだと思うが、わたしのように画面を見ること無く、本体はテーブルの上に置いてそっぽを向いたまま指だけが画面を滑っている場合もあるのだ。
 わたしはケースを利用しているために、このカメラの出っ張りは気にならない。ケースはテーブルに置いた場合の滑り止め効果を狙っているために、背面は滑らかでシリコン製のものを選んでいる。
 新機種のiPhoneが販売される度にカメラの出っ張りは無くなるのかと思ったが、結局iPhoneSE第三世代まで引き継がれている。あの頃大きく感じた画面も、今では手狭に思えるが、わたしにとっては操作しやすい広さである。

 iPhoneは出っ張りが気になったものだが、逆に出っ張っていないために苦労したものもある。
 食事の時、塩分調整で味噌汁の飲めないわたしは、冬場は湯飲みで緑茶を飲んでいる。使い捨てタイプのティーパックのものだ。
 回転寿司のように湯飲みの中にパックを入れて、あとはそこにお湯を注ぐだけ。ただ、このやり方では時間が過ぎるごとにお茶が濃くなっていく。
 そこで急須を購入した。これで煮出したお茶を湯飲みに注げば濃くなることはない。
 ところが、電気ポットから急須にお湯を入れるとき、どうしても目測をあやまって急須の外側にお湯を注いでしまう。電気ポットの注ぎ口があと1センチメートルほど出っ張っていれば確実に注げるのだが、なかなかうまくいかない。
 当初は湯飲みに一旦お湯を注ぎ、それを急須の中に入れていたのだが少々面倒である。電気ポットの注ぎ口と急須の位置関係になれれば良いだけの話だが、注ぎ口の方法をいろいろと変えてみてもお湯が溢れて火傷しそうになる。
 どうしたものかと思ったのだが、電気ポットの注ぎ口が延長できれば良いと思いつく。
 そこで500ミリリットルの炭酸飲料用ペットボトルの、飲み口から5センチメートルの位置で切り離し、電気ポットの注ぎ口に合わせてやや斜めに切断、あとは電気ポットの注ぎ口を覆うようにガムテープでつないだ。
 韓国風車体修繕法では無いが、こういうときのガムテープは便利である。
 電気ポットの注ぎ口が5センチメートルほど下がったことになるが、確実に出っ張っているので急須に直接注いでも漏れることは無くなった。
 高さの位置関係になれていないが、注ぐ度に火傷の心配が無くなっただけでとても安心できる。ようやく急須を買って良かったと思えた。
 ふと、いらっしゃったホームヘルパーさんに事の次第を説明し、こう聞いてみる。
「こういう工作をヘルパーさんに頼んだら、行っていただけるのでしょうか」
「そうですね、頼まれればできないことは無いですが、介護保険のホームヘルパーの仕事では無くなるので実費になりますね」
 ホームヘルパーさんの作業のうち、介護保険でまかなえる要件についてはいくつかの制限がある。
 以前にも説明したが、生活改善に繋がる用事で無いと行えないが、ゴミ捨てについては行えるが、窓拭きは生活改善に必須では無いために行えない。
 買い物代行でも食料品は出来るが、嗜好品・酒や煙草などは購入できない。
 これは今の所の規則なので、不満があるのなら介護保険の制度について改善要求を出すしか無いだろう。
 わたしはこういう工作が好きなので自分で行って居るが、一種の生活改善では無いのかなとか思うのである。

 出っ張りと言えば、目が見えないために普通ではおきそうに無い自己を起こすことがある。
 家具などが適当に配置されていると、身体をかがんだ時、適当な出っ張りに額を強打することがある。恐らく目が見えていればそれらの接近に気がつけるのだが、ぶつかってみるまで判らないし、わりにそれなりの速度でぶつかることがある。
 自分としては自分で調整したはずの部屋の中なのだが、わずかな立ち位置でその目算が狂うというところだ。
 なので、部屋の中と言え、身体を急にかがめたり振り返ったりはしないようにしている。
 いっそ家具類に角が無くなれば良いのにとか思うが、球体の家具では配置に困るだろう。
 必要な出っ張りと必要無い出っ張り、わたしは今後もそれに振り回されるのだろうと思うのである。

 次回は12年前のあの日について語りたい。