久々に病気以外のお話を・・・




以前、出版社でデザイナーをしていた頃のお話です。


某デパートの美術画廊で展覧会が開催される事になり、


その図録やチケット等のデザインを担当する事になりました。



ある日、スケジュールがどうしても合わない為、



打ち合せを日曜日に変更して欲しいとクライアントから連絡が入ったのです。



クライアントの希望ならば、休日だろうが予定を合わせなければなりませぬ。


ところが「あっ、その日は予定があって行けへんな…悪いけど1人で行ってくれへん?」


などと営業が抜かしやがっ…いえいえ、言って来たのです。


当然、嫌とは言えず1人で行く事に。




…そして当日。


タクシーで画廊へ行き、打ち合わせを済ませ、


地下の食料品売り場までエレベーターで一気に降りました。


別に食料品を買う為ではなく、そこには地下鉄へと続く出口があったのです。


しかし、帰りの交通費を節約しようと、地下鉄で帰る事にしたのが間違いの始まり。


出口を求め、壁際をぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる…


「何やコイツ!」という様な店員達の視線を浴びながら更にぐるぐる…



無い!出口が無い!


いや、無い訳がありません。パニックになって見付けられないだけなのです。


実は、りんは病的と言っていい程の方向音痴。もう泣きそーです。



頭と気持ちを切り替え、今度はタクシーで帰る事に。


クタクタの足で階段を登り、1階の正面入口から出て無事外へ…


見るとタクシー乗り場は長蛇の列。バス停は数メートル毎に複数あり、


普段バスに乗らないりんには何のこっちゃ分かりません。


半ベソ状態のりんに、「ど~したん?良かったらウチの店に寄ってかへん?」



という声を掛ける人が…エステサロンのキャッチセールスです。


いつもなら断りますが、今は藁をも掴む状態!


事情を説明すると「今なら無料でフェイストリートメント出来るんやけど、


それが終わったらバス停まで連れてってあげる」


というどこから聞いてもウサン臭いお返事。


どーしよーっ。疲れたしトイレにも行きたいし何より家に帰りたい足あと


悩み抜いた結果、優しそうなお姉さんのルックスだけを信じ、


生まれて初めてのエステサロンへ行く事に。



とってもピンクな店内でサロンの説明を受け、トイレを借り、


いよいよ無料のフェイストリートメントへ…押したり引いたり蒸したり…


何と心地良いのでしょう音譜


帰る頃には、疑いの心など、お顔の汚れと共にマシンに吸い込まれておりました。


すっかり仲良くなったお姉さんは、コーヒーと次回からの無料チケットをくれた後、


りんをバス停まで案内しバスに乗せ、手を振り見送ってくれました。


「な~んか、今日は色々あったなぁ…」と、バスに揺られウトウトするりんでした。

お姉さん、ありがとーっ !!!