聡と彩菜の車は、そのまま進み
途中寄り道をして、強い風が吹く海岸へ彩菜が行きたいと言い、廻という場所へ行き、2人で風に当たりリラックスし、色々見て来た
そして彩菜のリクエストで行きに通った廃校となった小学校へ行ったり
その廃校前で、聡と彩菜は推論を語って、話を20分ぐらいしたかも知れない
正直、聡と彩菜は楽しんでいた
元気いっぱいな彩菜の話は、聡の頭に刻み込まれていた

そしてしばらく脇の県道を通り、国道へ出た
それからは寄り道せずに北上し始めた
聡は聡でハガキを史学科の友人にいたずらしてよ、とハガキを50枚ぐらい買って、毎日その友人にハガキが着くよう、悪ふざけしようと、仁位や佐須奈のポストにも入れていった
あとから友人は一度に50枚ぐらいのハガキが来たぞ、聡・彩菜、と笑っていた
対馬山猫の絵書いたハガキとか…
よほど楽しかったんだな
と、ニコニコしていた
何だ、毎日ハガキが数枚、対馬から行くんじゃなくて、厳原の郵便局に纏めて集められるみたいね
聡は数回郵便局にバイトした事があるから、敢えて言わなかった
聡は1つ1つのポストから、横浜なら横浜の大きな郵便局に集められるのは知っていた
しかし、馬鹿な事ばかりする側なんで、彩菜の言葉に従っていた
この郵便局でもまた意味不明なハガキを送っていた
なあ、毎日俺の馬鹿なハガキが届いたらストレスになるかもな
こっちはストレス解消してる側だしな
後から聡は笑ってた
で、この辺から、韓国が望めないかな、聡
確かにもっと北に行けば良いらしいけど
と、そんな感覚で、2人で山に登り始めた
見えたら、いいね、釜山とか
対馬の北端から50kmしか釜山と離れてないから、見れるかもだよ、聡
聡はある山の中腹まで運転し、彩菜と釜山を望む予定にした
途中道が草むらに消えたとこもあったが、聡は山に行った時の癖が出来ていて
道の跡があるから、付いてきて
と、彩菜に伝え、勘だけで山頂に着いた

風強いけど、気持ちいいな
気持ちいいよね
対馬って
本当いいよね
秀俊たちも連れてきたら良かったね
チェファちゃんも喜ぶかも
自然豊かだから、何でもかんでも楽しいよ
彩菜は聡にそう返した
ここから、釜山って訳にはいかないな
まだ北上しないといけないのかな?
じゃあ、鰐浦の展望台まで行くかあ
うん、下りようか
時間が近いし
民宿にチェックインする時間が若干遅くなるから、電話しとくよ
今度の民宿、宿泊料金¥3000って、やる気あるのかな…
長崎県に総じて言うけどさ、物価が…
彩菜は、民宿に電話をし始めた
あの~、三ツ境ですけど、もうすぐ…ゲホッ、到着致しますから…ゲホッゲホッ、今夜…ゲホッゲホッ…、よろしくお願い…ゲホゲホゲホッ…、お願いします~
何、今日、俺の友人みたいになってるぞ?
いや、山道久し振りに歩いたから
大丈夫ですか?って、心配されちゃったよ…

聡と彩菜は韓国展望台まで、やってきた
しかし、今日は釜山は見えなかった
見つけりゃ、アンニョンハセヨなんだが、彩菜さあ、俺が韓国語学留学したのを知りつつ、俺を対馬に連れてきたんだな?
わざと
聡?
今日は本人みたい…
彩菜
君も友人みたい
聡は、日本人にしちゃ、変わってるからね
君だってそうじゃないか
許せるタイプ
心強いよ
今日は、聡と彩菜は勝という集落に行き、民宿に泊まる
2人は韓国展望台から離れ、鰐浦の集落にやってきた
自衛隊の大きな施設がある
これが国境の島である由縁だね
彩菜は聡に静かな声で伝えた
ねえねえ、ここの集落変わってる
ちょっとだけお邪魔させて頂こうよ

あの椎根の石屋根に似た倉庫が並んでんな、彩菜
うん、何かそうだよね
この旅は俺の発見、いや、とことん色々知る旅になっているな
聡はそう言いながら、集落の入口に車を止めさせて頂いた

全部、倉庫だぜ
何か変わってるね
俺、少し変わったかな
何かが、みんなが知ってる俺ではなくなったかも知れない
だから、最近…
愛嬌がちょっと無くなったかな?
日本シリーズの試合見て、感想述べたら良いよ
友達、みんな野球好きでしょ
聡も実は好きなんだよ?
クライマックスシリーズ見てたし
聡も本当はロッテ応援したんでしょ?
ああ、期待持てるチームで、あのチームは
来年、見てみたいな
ソフトバンク強いからね
参っちゃった
やっと、慣れてきたってとこだね、聡は、この状態に
で、ゆとりが出来てきて、再び野球を見るようになったんだよ
日本シリーズと世界一決定戦は見るようにね
集落の中に少し入った聡と彩菜は車に乗り、民宿がある勝集落に向かい始めた
民宿のおばさんは
夜に釜山の明かりが見えるかも知れないですね
と、教えてくれた
聡と彩菜は、夜9時に韓国展望台に行ったが、とうとう釜山の明かりは見れなかった
何か3泊4日で帰るなんて、もったいなさすぎだよね、聡
もう少し、対馬にいたいなあ…
な、彩菜
少し伸ばそうか?