マーガレットホテル526 | camouflage

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いつもの通り

奄美大島の部屋で秀俊は風邪を引いて寝ていた

何か頭痛が止まらないらしいのよ

チェファは彩菜にそう言った
聡は午前中の練習から、ようやく帰ってきた

医者、行った方がいいよ、チェファちゃん
俺が連れて行こうか?

聡先輩に風邪が移ったら、どうするの
ボストンマラソン予定なのに…

チェファは聡の申し出を、心配した

だって俺、風邪には強いぜ

聡先輩…、大切な大会だよ
聡先輩にはごめんなさいだけど、断るしかないよ、私が連れて行くよ
聡先輩も彩菜ちゃんも心配してくれてありがとう…

彩菜は

佐賀も寒いとこだからね、ほぼ盆地型の気候だから、冬は凄く気温が下がるのよ
とにかく早く言って来なさい

と、チェファを早く動くように指示した

うん、分かったよ…
近くに病院見つけてきたから

チェファがそう言うと

秀俊を連れるにはチェファちゃんじゃ無理だから、誰か秀俊をおぶったりさせた方が良いよ
チェファちゃんは無理だから

彩菜はチェファにそうアドバイスをした

うん、誰か付いて来てもらうね
その人もマスクさせないと…

奄美大島は今日気温15℃だけどね
暖かくて、練習しやすいのに…

早くヨンソクとコウォンみたいに元気になればいいな、チェファちゃん
あいつらいい走りしてるぞ




良かったね、若奥さん
インフルエンザじゃない
普通に休んだら2、3日で治りますよ
今度のマラソンはどこ走るのかな?
鹿島くんは

ボストンにしていますが…

大丈夫
本人は練習したいだろうけど
2、3日したら、治るから
焦らない事です、絶対に!
焦っちゃダメだよ
部屋で眠らせてあげなさい
あなたは、ゆっくりと待ってあげる事です
必ず効く処方箋あげるからね

50代ぐらいの君原と書かれた名札をしている医者は、そう言った

何かあったらね、また僕のとこに来なさい
君原、という名前を出していい
チェファちゃんって言うのですか、あなたは
まだ22歳ぐらいのようですよ
鹿島くんは幸せですね

はい!分かりました、君原先生
ありがとうございます!

うん、良く休ませなさい
奄美は暖かいし、素敵だから僕は北九州の戸畑からやって来たんだ
電話しなさい!




聡…、君も場所考えなさい
こんなとこで…

悪かったよ
つい
ごめんな、彩菜…

早くジャージ着なさい、全く…

つい、催してしまい…

いいから!
オリンピックチャンピオンだってバレないように!

誰もいない浜辺
彩菜と聡は海中でした

以前の聡はこんなんじゃなかったなあ
ピュアだった
何もかもが…
でも変わり果てたよなあ…

自分だって、断らなかった癖に

彩菜は聡の頬を平手打ちした

いってぇなあ…

何してたんだ?彩菜、聡

そこへヨンソクとコウォンが現れた

あれ?!ヨンソク!
ヨンソクこそ何してたの?!

カップル同士鉢合わせになり、全員びっくりしていた

ね、ねえ…
ヨンソク…

ん?どうしたの?!

シャツが前後ろ、逆だよ?

あ!ああ!

聡は、異変に気づき、ヨンソクたちに言った

お前ら変な事してたんだろ…

お前らも?じゃない?
お前もかな?

……

……

うちのクラブ、潰れるね…

彩菜は憂鬱になった


赤水監督は最初迷っていた

奄美大島コーラルパームスに泊まるか、貸別荘に泊まるか、最初悩んでいた
どちらも捨てられなかった
そして、悩んだ末に貸別荘に行く気になった

秀俊はお粥だけでも、とチェファ特製の物、おじやを食べて、3日経ってから、起きた

ああ、熱36,1度だ
やっと楽になったよ、チェファ…

秀俊はそう言って、微かに微笑んだ

良かったね、秀俊

良く我慢してくれたね、チェファ…
ありがとう
風邪、誰か移らなかったか?

大丈夫!
秀俊だけで済んだよ
赤水監督の指示、聞いてみるね

愛情のこもった韓国のお粥、おじや、ありがとう
言いたいお礼は沢山あるけど…

大丈夫!
夫婦だもん!

チェファは赤水監督から指示を受けた

君原先生っていう優しい先生が往診に来るって
そして、また指示するからだって

40分して、君原先生は別荘の近くに車を止め、秀俊の部屋へマネージャーに連れて行って貰い、診察を始め

全快だね

と言った
チェファは大変喜んだ