マーガレットホテル519 | camouflage

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いつもの通り

あーっ!
またかよ!

赤水監督が乗ったジープは、聡と秀俊を後ろから追ってたが、またタイヤがパンクしてしまった

聡と秀俊は委細構わず先に進んでいた

しかし、凄いですね
4000mの高地なんだけど、あのスピードでガンガン飛ばしていけるなんて
凄い速さだ

今の10km、29分台で軽々と走ってますよね、ドクター

余程、空気中の酸素取りやすいんでしょうね

スタッフがパンクしたタイヤを替えてる間、それに気がつかない聡と秀俊の姿を見ているうちにドクターは感心しながら、頼もしさを感じていた

アジア大会、いや次のオリンピックが楽しみだ

確かにそうですね、赤水監督

あの走りなら、かなり行けますよ、ドクター

やがて、聡と秀俊の姿は赤水監督とチームドクターの視界からは消えてしまった

聡と秀俊は後ろのトラブルには全く気づかずにひたすら走っていた
少数民族が住んでいる村が遠くに見える地点を、2人は進みながら、やがて平原が見える地点に達した
聡と秀俊は、平原へやってきた
聡は秀俊に言った

監督たち、また消えたな
秀俊、少しこの平原で休まないか?

ああ、大丈夫だよ、聡

聡と秀俊は平原に座り込んで、聡はやがて横になった

秀俊は座って、辺りの景色を眺めていた
聡は少し眠り始めた

秀俊はそんな聡の横で遠くの山々を見ていた
そんな中、やがて秀俊の前に黒い煙が出てきて、その煙は少しずつ大きくなってきた

何だありゃ?

秀俊は不思議な煙をじっと眺めていた
そして秀俊は立ち上がって、その煙の方へ歩いた
好奇心が秀俊の中に出ていた
やがて煙は秀俊を包んでいった

秀俊…、良く来たね

煙の中で声が、良く聞いてる声がした
やがて、煙の中にぼんやりと人の姿が見えてきて、はっきりと見えるようになった
チェファだった

チェファ!?

そうだよ、チェファだよ…

チェファ、別荘にいるんじゃないのか?!

私はチェファだよ…、秀俊が大好きなチェファ…

チェファ!

好きって言ってくれないかな…、チェファの事…

秀俊は、驚きながら、チマチョゴリを着たチェファにその通りにした

チェファ!大好きだ!

もっと大きな声で言って…、秀俊…

俺は君の事、チェファが大好きだ!!!

ありがとう、秀俊…

やがて秀俊の目の前からチェファの姿が少しずつ離れて行って、チェファは向こう側を歩き、消えて行った

チェファ!

煙も少しずつ消えて行った

そして向こう側の山々が再び見えるようになっていく
そして煙もすっかり晴れて行った

チェファ!

秀俊はそう叫んだが、チェファは見えない
後ろを見たら、聡は眠っていた
秀俊は何か良く分からないまま、佇んでいた
秀俊は、聡を起こそうと聡の傍へやってきた

あー!良く眠った…
今、何時ぐらいかな、秀俊

聡!監督のもとへ走って行こう!
また監督たちトラブルだ!

聡はゆっくりと起き上がり

あー、夢見てたわ

と、何も気づいてない風に行った

早く!早く行こうぜ、聡!




彩菜とチェファはスタッフと一緒に今夜の料理の食材を買って帰ってきた

今夜は日本食とサムギョプサルの予定だよ、彩菜ちゃん

あらかじめチェファは、そう宣言してスタッフを入れて5人で市街地のマートを往復してきた

雲南省にもウォルマートもあるから、だいぶ便利だよね

彩菜は微笑んで、チェファに言った

そこへ聡と秀俊たちが帰ってきた

チェファ!チェファ!

あ、秀俊だ

秀俊は動揺して帰って、チェファの姿を探していた

秀俊、中に入ってきて、チェファここにいるよ?

チェファ!

どうしたんだろうね、秀俊…

秀俊は慌てて、別荘の中に入った
動揺して、厨房へやってきた
秀俊はチェファの姿を見て、一旦ホッとした

チェファ、いたのか

うん、ウォルマート行って帰ってきたよ?秀俊
どうしたの?

秀俊の慌て振りにチェファは怪訝に思った
秀俊は心の内では、かなり焦っていた
そんな秀俊を見ながら、チェファは微笑んだ

ねえ、秀俊何慌てたの?

いや、何でもない…

秀俊は一旦、リビングの椅子に座った

変なの…

チェファは、やがて彩菜と一緒に夕ご飯を作り始めた
秀俊は少しずつ動揺が鎮まって来ていた

チェファ…、チマチョゴリ持ってきてる?

ん?
あるよ
何かの場合に備えて…

そうか…

秀俊はしばらく黙っておく事にした
そして秀俊は夜、2人きりになってから話した

そんなにチェファの事、好きなの?
思い詰めてたのね

あ、ああ…、そうさ

嬉しいなあ、チェファ
秀俊と結婚してシアワセ…

やがて2人は唇と唇を合わせた