ドル安だからかな
米ドルがちょっとね
ねえ、韓国には行かないの?
マラソンとか
どうしよっかなあ
レース前、聡と彩菜はリラックスして、話をしていた

ヨンソクとコウォンは、驚いた
平坦なコースとは言え、最初の5kmが13分48秒の聡の入りだった
無茶苦茶だな、ペースメーカーも相当キツそう…
大丈夫かな、聡先輩は
ヨンソクたちは、これを見てから練習に向かうつもりだった
さすがに10000m世界記録保持者だな
まだ破られてないからな、未だに
ヨンソクとコウォンは画面に見入っていた
大出監督は怒っていた
沿道から聡に怒号を飛ばした
馬鹿!
そんなペースで行くヤツがどこにいる?!
聡は構わずペースを上げたままだ
10km手前で2位グループとは、1kmの差がついていた
ペースメーカーたちは聡に着いていくのが、やっとだった
ペースメーカーの1人は消えた
聡はペースを落とす気はなかった
5人いたペースメーカーは3人だけになった
ペースメーカーは聡に英語で尋ねた
どこまで付いていけるか、分からんぞ?
20kmまで出来るなら、このペースで行ってくれ
と、聡が言ったら、彼らはそうすると答えた
今日はマラソンには良い気候だ
聡は走り良さそうだった

新開と鏡もテレビをつけたら、びっくりしていた
あんなペースで20kmまで行ってたのか!
あ、ペースメーカー外れた、止めちゃったよ…
ずーっとあのスピードで行ってるの?
2位グループは?
確かにこのまま行けば、怖ろしいタイムになるが、世界記録保持者、世界記録更新か?ってレースになってんな
あのボストンで走り、上位に入ると世界陸上日本代表になるが、敢えて避けたよね、新開と、聡は
こういう走りをしたかったんだね、聡は
新開はちょっと参ってたろうけど
代表に選ばれるストレスは
聡も一緒だろうけど…
東京のある放送局にいる瀬古さんは、今回は、東京で解説をしていた
そんなあちこちに毎月行く訳には行かない
このまま行くと、1時間59分台が出ますよ!
人類初の1時間台が出ます!
大変な記録ですよ!
あ、奥さんが何か行ってますよ?!
聡!
ちょっとペース落ちたよ
少しペース上げて!
聡は右手を挙げて合図した
大出監督も同じ気持ちになっていた
門下生が大変な記録を出そうとしている
この際、世界記録更新が大切だ
檄を飛ばした
聡、35km!
ここから、ペースを落としちゃダメだ!
行け!行け!
聡はそう叱咤激励をした監督に右手を挙げて合図した
秀俊とチェファは、聡に対し祈った
2時間台破る選手が、とうとう見れる
そこにチェヨンとシウォンがやってきた
チェファの店で、4人は観戦し始めた
秀俊、あいつら本当凄いよ
当初から、この予定だったのか
俺もアジア大会、何とか狙おう
2回オリンピックで、メダル取ったんで、満足していた
やり直しだ
チェヨンはそう言って4人でテレビを見始めた
40km地点にはギョンヨンといずみがいた
ギリギリ狙える位置だな
1時間台…
いずみは寧華を抱いて観戦した
高校の頃、良く話してた聡くんが、まさかこんなランナーになるとは、感じてなかったからね…
おっぱ、みんな帰ってきたら、パーティー開いてあげようよ
いずみは、優しく微笑んだ
あの、聡くんがなあ…
分かったいずみ!
大広間で、パーティーだ!
聡来たぞ!
聡くん、あと2km強だよー!
ペース落とすな、聡!
踏ん張れ!
聡は2人に向かって微笑んで右手を挙げた
残り2km、聡はペースが上がった
ゴールの電光掲示板は、聡がゴールした時には、1時間59分23秒というタイムを差していた
凄い!
三ツ境くんは凄いです!
だから世界陸上忌避したんですね?!
ああ、奥さんと喜んでハグしてますよ!
彩菜…!
良くやったよ、聡!
人類未体験の世界だよ!
そう2人でいつまでもハグしていたい気持ちだった