
横浜スタジアムが見える場所で 君は話を続けた。
「君が何故ハングルを私と話しているか分かる?君は小さい時に 私に話していたからなの。君は在日の人なの」
立て続けに言われ、僕は唖然としていた。
「でも国籍は日本だよ、僕は。説明がつかないじゃないか」
君は 更に続けた。
目は僕を真剣に見て、笑ってなかった。
「君は日本人の家に養子にされて行ったの。記憶がほとんど無くなっちゃったのね。私たち結ばれたのよ。君が養子に行く前に。君が4歳の夏に」
「でたらめを言わないで。記憶はないよ。最初の記憶は5歳の春なんだよ。だけど 僕は君と小さい時にした想い出はない。それに養子とか言わないで。それは本当なの?」
「本当よ。君と私は在日の人なの。衝撃を受けて、覚えていないの。君はあの時全ての記憶をなくした。私が言ってることは事実なのよ」
君と僕は 県庁の前を歩いていた。