東京での夏休み14 | camouflage

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いつもの通り



君と電車に乗っていた。



夏の空が 扉の前に立っている君を照らしていた。



君は 扉から見える飛行機を見て喜び、僕に、



「コンハンイ カカウォネ。ソウルンチョムモンゴセイッヌンデ。ノルロワ」



君は目を輝かせて 僕を見て手を握った。



「ソニエプダ。チャグネ」



君は僕の手を触り 甲を撫でた。



心地良い感触が手に伝わって、僕は君の愛情を心に受け止めた。



僕は 恥ずかしくなり、君の顔から目を逸らした。



君といると 経験したことがない感情が湧き出る。



僕は 僕を 感情の起伏が ほとんどない人間だと君と会うまで錯覚していた。



しかし違っていた。



君といると もろに感情が高まる。



ここまで人を好きになることは 今まで経験したことがない。





電車は 君と僕を横浜へ連れて行ってくれた。



君は関内の駅を降りたところで突然 僕の目を見て言った。



「君ね、私と幼なじみなんだよ。私、君を小さい時から知っているの」



僕は 君の流暢な言葉を聞き、顔を見つめた。



「私、君のこと好きだったんだ。私たち結婚の約束をしたのよ。君は記憶を失ってるけどね」



君の言葉を聞いて、僕は動けなくなった。